詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。
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八、2.97 薛濤 《牡丹 》
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2017年11月25日 |
の紀頌之"6"つの校注Blog |
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●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」。、現在、①李白集校注詩全詩、②昌黎先生集全40巻他全詩、③杜詩詳注、④花間集、⑤玉臺新詠、⑥薛濤詩 全訳注解説 |
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八、2.97 薛濤 《牡丹 》 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9550
(牡丹の花を自分として、愛の心をわかってもらえているだろうし、互い愛情は通じている、今宵は互いの愛を語り合おうと詠う。)
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薛濤詩 |
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95. 謁巫山廟
亂猿啼處訪高唐,路入煙霞草木香。
山色未能忘宋玉,水聲猶是哭襄王。
朝朝夜夜陽台下,為雨為云楚國亡。
惆悵廟前多少柳,春來空斗畫眉長。
96. 寄舊詩與元微之
詩篇調態人皆有,細膩風光我獨知。
月下詠花憐暗淡,雨朝題柳為欹垂。
長教碧玉藏深處,總向紅箋寫自隨。
老大不能收拾得,與君開似好男兒。
97. 牡丹
去春零落暮春時,淚濕紅箋怨别離。
常恐便同巫峽散,因何重有武陵期。
傳情每向馨香得,不語還應彼此知。
隻欲欄邊安枕席,夜深閑共說相思。
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薛濤 97 《牡丹》 |
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訳注解説 |
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漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9543 |
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牡丹
(牡丹の花を自分として、愛の心をわかってもらえているだろうし、互い愛情は通じている、今宵は互いの愛を語り合おうと詠う。)
去春零落暮春時,淚濕紅箋怨别離。
昨年の春のこと、春も終わるころにぽとり、ぽとりとすべて花弁は散り落ちてしまった。あのとき、あなたと別れたことに、涙を流して泣き、紅い詩箋にうらむ歌をかきつけたものでした。
常恐便同巫峽散,因何重有武陵期。
いつも心に思うのは、あの楚王と巫山の神女の一夜の契りのように、散り散りに別れることを心配していたものでした。どうしたわけだか、あの陶淵明の「桃花源記」に武陵の山間の桃花林をたずねた漁父が、そこを出ると二度とは行けなかったとあるように、二度と逢えると思っていなかったのに、花咲くころにどうしてあえたのでしょう!
傳情每向馨香得,不語還應彼此知。
愛の心は必ず伝わります。身につけているよい匂いというものがいつもその人がわかるというようにです。また、一言も彼の人は口に出してはいわぬが、心におもうことはよくわかるようにです。
隻欲欄邊安枕席,夜深閑共說相思。
一つの枕がこの欄干を通っていったあたりには寝台に置いてやすらぎます。夜がふけています、しずかに二人で、たがいの愛の思いを語りあかそうではありませんか。
(牡丹)
去春 零落【れいらく】す 暮春【ぼしゅん】の時、涙は紅箋【こうせん】を濕して 別離を怨む。
常に恐れぬ 便ち巫峡【ふきょう】と同じく散ぜんことを、何に因ってか重ねて武陵【ぶりょう】の期あらんとは。
情を傳ふるは 毎に馨香【けいこう】に向って得、語らざるも 遠 應に彼此【ひし】知るべし。
只 欄邊【らんへん】 枕席【ちんせき】に安きて、夜深うして 閒【しず】かに共に相思を説【い】はんと欲す。
『牡丹』 現代語訳と訳註
(本文)
去春零落暮春時,淚濕紅箋怨别離。
常恐便同巫峽散,因何重有武陵期。
傳情每向馨香得,不語還應彼此知。
隻欲欄邊安枕席,夜深閑共說相思。
(下し文)
(牡丹)
去春 零落【れいらく】す 暮春【ぼしゅん】の時、涙は紅箋【こうせん】を濕して 別離を怨む。
常に恐れぬ 便ち巫峡【ふきょう】と同じく散ぜんことを、何に因ってか重ねて武陵【ぶりょう】の期あらんとは。
情を傳ふるは 毎に馨香【けいこう】に向って得、語らざるも 遠 應に彼此【ひし】知るべし。
只 欄邊【らんへん】 枕席【ちんせき】に安きて、夜深うして 閒【しず】かに共に相思を説【い】はんと欲す。
(現代語訳)
(牡丹の花を自分として、愛の心をわかってもらえているだろうし、互い愛情は通じている、今宵は互いの愛を語り合おうと詠う。)
昨年の春のこと、春も終わるころにぽとり、ぽとりとすべて花弁は散り落ちてしまった。あのとき、あなたと別れたことに、涙を流して泣き、紅い詩箋にうらむ歌をかきつけたものでした。
いつも心に思うのは、あの楚王と巫山の神女の一夜の契りのように、散り散りに別れることを心配していたものでした。どうしたわけだか、あの陶淵明の「桃花源記」に武陵の山間の桃花林をたずねた漁父が、そこを出ると二度とは行けなかったとあるように、二度と逢えると思っていなかったのに、花咲くころにどうしてあえたのでしょう。!
愛の心は必ず伝わります。身につけているよい匂いというものがいつもその人がわかるというようにです。また、一言も彼の人は口に出してはいわぬが、心におもうことはよくわかるようにです。
一つの枕がこの欄干を通っていったあたりには寝台に置いてやすらぎます。夜がふけています、しずかに二人で、たがいの愛の思いを語りあかそうではありませんか。
(訳注)
牡丹
1. (牡丹の花を自分として、愛の心をわかってもらえているだろうし、互い愛情は通じている、今宵は互いの愛を語り合おうと詠う。)
2. 牡丹の花を、たくみに擬人法をもって、愛人のようにうたっている。
薛濤詩の三首しか残っていない内の一首であり、彼女の詩才を感じさせ、そして、相当に巧みに作られている。
薛濤が江陵の元槇のもとに旅をしたときに
謁巫山廟 薛濤 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-242-108-#98 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2592
寄舊詩與元微之 薛濤 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-243-109-#99 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2597
牡丹 薛濤 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-244-110-#100 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2602
の三詩がある。
3. 構成
去春零落暮春時 淚濕紅箋怨别離
常恐便同巫峽散 因何重有武陵期
傳情每向馨香得 不語還應彼此知
隻欲欄邊安枕席 夜深閑共說相思
●○△●●○○ ●●○○△●△
○●△○○●● ○△△●●○○
△○●●○○● △●○△●●○
●●○○○△● ●△○△●△△
去春零落暮春時,淚濕紅箋怨别離。
昨年の春のこと、春も終わるころにぽとり、ぽとりとすべて花弁は散り落ちてしまった。あのとき、あなたと別れたことに、涙を流して泣き、紅い詩箋にうらむ歌をかきつけたものでした。
4. ・零落 落ち散る。
5. ・紅箋 詩などを書く紅色の紙。箋は儀
に同じ。
6. ・津(うるおす) 湿の本字。
7. ・第二句は、机の上にひろげていた紅色の詩箋の上に涙を落としたといっているが、別離をうらんで、その怨みごとの詩を涙で紅色の詩箋の上に書きつづったというところまで突っこんで考えたい。
常恐便同巫峽散,因何重有武陵期。
いつも心に思うのは、あの楚王と巫山の神女の一夜の契りのように、散りじりに別れることを心配していたものでした。どうしたわけだか、あの陶淵明の「桃花源記」に武陵の山間の桃花林をたずねた漁父が、そこを出ると二度とは行けなかったとあるように、二度と逢えると思っていなかったのに、花咲くころにどうしてあえたのでしょう。!
8. ・巫峡 「巫山繭に謁す」を見よ。巫暁は三峡の一つで、上に巫山廟がある。
9. ・武陵 湖南省武陵県にあるいわゆる桃源郷。晋の陶潜に、「桃花源記」がある。ここでは牡丹を女性自身としている。漁父が掃ってから太守がそこを探らせたが、二度と尋ねあてることができなかったということ強調。
傳情每向馨香得,不語還應彼此知。
愛の心は必ず伝わります。身につけているよい匂いというものがいつもその人がわかるというようにです。また、一言も彼の人は口に出してはいわぬが、心におもうことはよくわかるようにです。
10. ・馨香 よい匂い。
11. ・彼此 おたがいに。
隻欲欄邊安枕席,夜深閑共說相思。
一つの枕がこの欄干を通っていったあたりには寝台に置いてやすらぎます。夜がふけています、しずかに二人で、たがいの愛の思いを語りあかそうではありませんか。
12. ・隻 ① 比較的大きい船を数えるのに用いる。② 屏風など対(つい)になっているものの片方を数えるのに用いる。③ 魚・鳥・矢などを数えるのに用いる。
13. ・欄 おはしま。廊下の手すり。
14. ・相思 相愛の心。恋心。