詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。
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八、2.77 薛濤 《寄張元夫 》
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2017年11月3日 |
の紀頌之"6"つの校注Blog |
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●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」。、現在、①李白集校注詩全詩、②昌黎先生集全40巻他全詩、③杜詩詳注、④花間集、⑤玉臺新詠、⑥薛濤詩 全訳注解説 |
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八、2.77 薛濤 《寄張元夫 》 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9410
(張元夫さまにこの詩をよせる)
渓谷の向こう岸に、ひとりぽつんと白鷺が黙って立っている。その谷川のこちら側の道には、進んでゆく高官の人々の姿が見える。向こう側の鷺は、朱衣を着たこちら側の人の行動を見ても、「川下に飛び立つ」などの驚きをするようなことなどありはしない。
すこし、きいてみたいことがある。人というものは、さびしくて切ない気持ちを持っているものです。あなた様の寂しさはきっと、「列子」の湯問篇の伯牙の故事にある自分の音曲の理解者の死去により、琴糸をたち切った伯牙のさびしさのようなものだろうと想像いたします。
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薛濤詩 |
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73. 寄詞
菌閣芝樓杳靄中,霞開深見玉皇宮。
紫陽天上神仙客,稱在人間立世功。
74. 送友人
水國蒹葭夜有霜,月寒山色共蒼蒼。
誰言千里自今夕,離夢杳如關塞長。
75. 贈遠二首 其一
擾弱新蒲葉又齊,春深花發塞前溪。
知君未轉秦關騎,月照千門掩袖啼。
76. 贈遠二首 其二
芙蓉新落蜀山秋,錦字開緘到是愁。
閨閣不知戎馬事,月高還上望夫樓。
77. 寄張元夫
前溪獨立後溪行,鷺識朱衣自不驚。
借問人間愁寂意,伯牙弦絕已無聲。
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薛濤 77 《寄張元夫》 |
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訳注解説 |
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漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9410 |
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寄張元夫
(張元夫さまにこの詩をよせる)
前溪獨立後溪行,鷺識朱衣自不驚。
渓谷の向こう岸に、ひとりぽつんと白鷺が黙って立っている。その谷川のこちら側の道には、進んでゆく高官の人々の姿が見える。向こう側の鷺は、朱衣を着たこちら側の人の行動を見ても、「川下に飛び立つ」などの驚きをするようなことなどありはしない。
借問人間愁寂意,伯牙弦絕已無聲。
すこし、きいてみたいことがある。人というものは、さびしくて切ない気持ちを持っているものです。あなた様の寂しさはきっと、「列子」の湯問篇の伯牙の故事にある自分の音曲の理解者の死去により、琴糸をたち切った伯牙のさびしさのようなものだろうと想像いたします。
『寄張元夫』 現代語訳と訳註
(本文)
寄張元夫
前溪獨立後溪行,鷺識朱衣自不驚。
借問人間愁寂意,伯牙弦絕已無聲。
(下し文)
(張元夫に寄す)
前溪は獨立、後渓は行む。鷺 朱衣を識るも 自ら驚かず。
借問す 人間 愁寂の意。伯牙 弦絶えて 己に聾なし。
(現代語訳)
(張元夫さまにこの詩をよせる)
渓谷の向こう岸に、ひとりぽつんと白鷺が黙って立っている。その谷川のこちら側の道には、進んでゆく高官の人々の姿が見える。向こう側の鷺は、朱衣を着たこちら側の人の行動を見ても、「川下に飛び立つ」などの驚きをするようなことなどありはしない。
すこし、きいてみたいことがある。人というものは、さびしくて切ない気持ちを持っているものです。あなた様の寂しさはきっと、「列子」の湯問篇の伯牙の故事にある自分の音曲の理解者の死去により、琴糸をたち切った伯牙のさびしさのようなものだろうと想像いたします。
(訳注)
寄張元夫
1. (張元夫さまにこの詩をよせる)
2. ・張元夫(ちょうげんぷ) 剣南東川節度使のもとで校書をしていた人物。才ありながら、その才を認めてくれる人がいなくなって、さびしがっている張元夫を慰めて滑った詩。(〈家瀨〉)
前溪獨立後溪行,鷺識朱衣自不驚。
渓谷の向こう岸に、ひとりぽつんと白鷺が黙って立っている。その谷川のこちら側の道には、進んでゆく高官の人々の姿が見える。向こう側の鷺は、朱衣を着たこちら側の人の行動を見ても、「川下に飛び立つ」などの驚きをするようなどない。
3. ・前溪・後溪 谷川の向こう側とこちら側。
4. ・独立 鷺が片脚でひとりぽつんと立っていることをいう。
5. ・行 すすむ意。出世してゆくことにもかかる。
6. ・朱衣 高官は朱衣を着た。
7. ・鷺識朱衣自不驚 静かな渓谷のちょっとした風による流れの音の変化で驚くシロサギを詠った王維の詩がある。この薛濤の詩ではシロサギが驚かないというのであるが雰囲気を王維の輞川州、欒家瀨の景色を彷彿させる。
王維『輞川集〈欒家瀨〉』
「颯颯秋雨中,淺淺石溜瀉。跳波自相濺,白鷺驚復下。」
颯颯(さつさつ)たる秋雨(しゅうう)の中(うち)。浅浅(せんせん)として石溜(せきりゅう)に瀉ぐ。波は跳(おど)って自(おのずか)ら相い濺(そそ)ぎ。白鷺(はくろ)は驚きて復(ま)た下(くだ)れり。
借問人間愁寂意,伯牙弦絕已無聲。
すこし、きいてみたいことがある。人というものは、さびしくて切ない気持ちを持っているものです。あなた様の寂しさはきっと、「列子」の湯問篇の伯牙の故事にある自分の音曲の理解者の死去により、琴糸をたち切った伯牙のさびしさのようなものだろうと想像いたします。
・伯牙弦絶 「列子」の湯問篇に、伯牙は琴の名人であり、鐘子期はまた、その音楽のすばらしい理解者であったことが見える。また、「呂氏春秋」に、その「鐘子期が死ぬと、伯牙は琴をうち砕き、弦を切ってしまって、一生二度と琴を弾かなかった。もはやわが琴の心をわかってくれる人はないと思ったからであった」と見えている。この故事に基づいている。
・聾 琴の音。
張元夫の才能を理解していたただ一人、前任の節度使をうしない、仲間のはなやかな出世の姿を、ただ、見送っているだけの状況を、心からご同情を詠ったものであるが、この詩で張元夫が涙を流して薛等に感謝するということはないだろうと思う。この詩は、「女の私でもこれだけに知識があります」といっているように見える。