詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。
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八、2.27 薛濤 《九日遇雨二首其二 》
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2017年9月1日 |
の紀頌之"6"つの校注Blog |
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10年のBLOGの集大成 |
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●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」。、現在、①李白集校注詩全詩、②昌黎先生集全40巻他全詩、③杜詩詳注、④花間集、⑤玉臺新詠、⑥薛濤詩 全訳注解説 |
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八、2.27 薛濤 《九日遇雨二首其二 》 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9032
茱萸を髪にさして、山にのぼり今日の節句を、欒しみに約束してもらっていたのに、だめになってしまった。それでも、雨の寒い中、黄金色した黄菊が、さびしく庭一面に、においをただよわせている。
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薛濤詩 27 《九日遇雨二首其二》 |
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九日遇雨二首其一
(旧暦の九月九日、重陽の節句の日が、ちょうどひどい吹き降りであったので、よんだ作。二首。)
萬里驚飆朔氣深,江城蕭索晝陰陰。
はるか万里のさきからおそろしい暴風がおそってくる。狂ったように雨を打ちつけて、冬のような北の寒さが、ひしひしと身にしみるほどつめたいのです。錦江沿いの町は、ものさびしくひっそりして、昼というのに、すっかり雨雲におおわれて、夜のように暗いのです。
誰憐不得登山去,可惜寒芳色似金。
だれもが、山に登って菊酒をくみかわそうと待ちのぞんでいたのに、登ることができないのでくやしいおもいです。ただ寒さの中に、雨にしめって金色をした黄色い菊の花が、菊の香りのお酒が飲めないのは、残念におもうはかないのです。
(九日、雨に遇ふ 二首 其の一)
萬里 驚飆【きょうふう】朔気【さくき】深く、江城 蕭索【しょうさく】晝【ひる】陰陰。
誰か憐【あわれ】まん 山に登り去き得ざるを、惜むべし 寒芳【かんほう】色 金に似たり。
(九日、雨に邁ふ 二首 其の二)
茱萸【しゅゆ】の秋節 佳期【かき】阻まる、金菊 寒花 満院【まんいん】香し。
神女来らんと欲す 意有るを知る、先づ 雲雨をして 池塘【ちとう】を暗からしむ。
『九日遇雨二首』其二 現代語訳と訳註
(本文)
九日遇雨二首其二
茱萸秋節佳期阻,金菊寒花滿院香。
神女欲來知有意,先令云雨暗池塘。
(下し文)
(九日、雨に遇ふ 二首 其の二)
茱萸【しゅゆ】の秋節 佳期【かき】阻まる、金菊 寒花 満院【まんいん】香し。
神女来らんと欲す 意有るを知る、先づ 雲雨をして 池塘【ちとう】を暗からしむ。
(現代語訳)
(旧暦の九月九日、重陽の節句の日が、ちょうどひどい吹き降りであったので、よんだ作。二首其の二。)
茱萸を髪にさして、山にのぼり今日の節句を、欒しみに約束してもらっていたのに、だめになってしまった。それでも、雨の寒い中、黄金色した黄菊が、さびしく庭一面に、においをただよわせている。
これは、神女さまが、その菊花をめでたくて、降りておいでになられたいのです。それに先駆けて命じられて、雲や雨を地上にさしむけられ、池のあたりまで、真っ暗にされてしまわれたことなのでしょう。
(訳注)
九日遇雨二首其二
(旧暦の九月九日、重陽の節句の日が、ちょうどひどい吹き降りであったので、よんだ作。二首其の二。)
同じ題材の妓女の詩比較してみると面白い。
魚玄機『重陽阻雨』
滿庭黃菊籬邊拆,兩朵芙蓉鏡裏開。
落帽臺前風雨阻,不知何處醉金杯。
(重陽の日に雨に阻まれる。)
まがきのあたりに、一面に咲いていた黄金色の菊の花は、雨風にたたかれて、茎の折れてしまったものさえある。外は雨、鏡を開けると、蓮の花が兩の頬に咲いているように映る。
晋の孟嘉の故事のように山に昇れば帽子が飛ばされても気が付かないほどお酒をいただき、良い詩を返そうと思う前に嵐によって山に向かう外に出るのさえ阻まれたのです。こんなことではどこで黃菊酒の盃で酔えばよいのかわからない。
重陽阻雨 魚玄機 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-97-33-# 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2032
茱萸秋節佳期阻,金菊寒花滿院香。
茱萸を髪にさして、山にのぼり今日の節句を、欒しみに約束してもらっていたのに、だめになってしまった。それでも、雨の寒い中、黄金色した黄菊が、さびしく庭一面に、においをただよわせている。
・茱萸秋節 茱萸は、ぐみともいわれるが、ぐみではなく、はじかみの一種で、夏に校のこずえに、黄白の花がむらがり咲き、その実は紫をおびた赤い色。かえでの一種ともいう。九月九日の重陽の日には、この茱萸のふさを髪にさし、山に登り、邪気をはらう風習があった。そこで旧暦九月九日の節句を茱萸の秋節という。薛濤の慕う杜甫『九日藍田崔氏荘』「明年此会知誰健、酔把茱萸子細看。」(今日は主賓と共にこんなにおもしろく過ごせたが、さて明年のこの会には、果たして誰が変わりなく達者でいるであろうか、それをおもうて自分は酔いながら茱萸の枝を手にして詳しく眺めいるのである。)の句もある。
・佳期 よい約束の日。今で云うデートの約束。
・金菊 黄金色の菊花。四川省に多い。唐代には、白菊は珍しく、黄菊は一般的であったという。金色の酒に金色の菊。
・寒花 さびしい花。
・満院 院は、内庭。満院は、庭いっぱい。
神女欲來知有意,先令云雨暗池塘。
これは、神女さまが、その菊花をめでたくて、降りておいでになられたいのです。それに先駆けて命じられて、雲や雨を地上にさしむけられ、池のあたりまで、真っ暗にされてしまわれたことなのでしょう。
・神女 宋玉の「神女賦」に、「且に朝雲となり、碁に行雨となる」「朝雲暮雨。」の句がある。結句の「雲雨」に応じている。神女と雲雨は、雨が宋玉「高唐の賦」にある巫山神女の故事によるもので、懷王と交わった後、神女が「暮には行雨とならん」とどんな時でも一緒にいるといった意味を持つ雨である。楚の懐王が巫山の神女と夢のなかで交わった故事を連想させる。
・池塘(ちとう) いけ。堤のある池。
九日藍田崔氏荘
老去悲愁強自寛、興来今日尽君歓。
自分はだんだん年老いて悲しき秋にあたって無理に胸の内を寛ごうと思って、漫然とした生活の中で気の向くままにとおもっていたが、今日にかぎっては十分に君が奉げてくれる歓情を受け尽くすのである。
羞将短髪環吹帽、笑倩旁人為正冠。
晉の孟嘉のように適当なかぶり方にして風が帽子を吹きおとすのは老いの短い髪の毛になっている自分にははずかしいことにおもわれる、笑い話のようであるが自分は孟嘉ほどのものではないので脇の人にこいねがってこの帽のかぶり具合をきちんと治してもらうことにしよう。
藍水遠従千澗落、玉山高並両峰寒。
荘外をながめると、遠く多くの谷間の水を集めてそこから藍水へと落ちてくるし、玉山はその二つの峰が高くならんできた赦免なのですでに寒色をたたえている。
明年此会知誰健、酔把茱萸子細看。
今日は主賓と共にこんなにおもしろく過ごせたが、さて明年のこの会には、果たして誰が変わりなく達者でいるであろうか、それをおもうて自分は酔いながら茱萸の枝を手にして詳しく眺めいるのである。
(九日 藍田の崔氏の荘)
老い去【ゆ】きて悲愁(に強【し】いて自ら寛(ゆる)うし、
興【きょう】来【おこ】りて今日ぞ君の歓(よろこ)びを尽くさん。
羞【は】ずらくは短髪を将【もっ】て環【な】お帽を吹かかることを、笑いて旁人に倩【こ】いて為に冠【かんむり】を正さしむ。
藍水【らんすい】は遠く 千澗【せんかん】従【よ】りして落ち、玉山【ぎょくざん】は高く 両峰【りょうほう】に並【そ】うて寒し。
明年【みょうねん】は 此の会【つど】い 知んぬ 誰か健【すこやか】なるを、酔うて茱萸【しゅゆ】を把【と】りて子細【しさい】に看【み】る。
九日藍田崔氏荘 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 277
王維 『九月九日憶山東兄弟』
獨在異鄉為異客、每逢佳節倍思親。
遙知兄弟登高處、遍插茱萸少一人。