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中国文学 李白・杜甫・韓愈・李商隠と女性詩 研究

詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。

九、024卷804_ 22-2 《江行 二首 其二》 魚玄機 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9853

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九、024804_ 22-2 《江行 二首 其二》 魚玄機

 

2018110

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九、024804_ 22-2 《江行 二首 其二》 魚玄機 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9853

 (航行中の船の中から、春かすみに煙る鸚鵡洲を過ぎて、漢江の入り口付近に到着していたと抒情を詠う)

春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。


 

 

 

魚玄機 全詩 

 

 

全唐詩    詩題

804_21  《秋怨 

秋怨

自嘆多情是足愁,況當風月滿庭秋。

洞房偏與更聲近,夜夜燈前欲白頭。

 

804_22-1 《江行 二首 其一》

其一

大江橫抱武昌斜,鸚鵡洲前萬家。
畫舸春眠朝未足,夢為蝴蝶也尋花。

 

804_22-2 《江行 二首 其二

其二

煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。

醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。

 

804_23  《聞李端公垂釣回寄贈

聞李端公垂釣回寄贈

無限荷香染暑衣,阮郎何處弄船歸。
自慚不及鴛鴦侶,猶得雙雙近釣磯。

 

804_24  《題任處士創資福寺

題任處士創資福寺

幽人創奇境,遊客駐行程。

粉壁空留字,蓮宮未有名。

鑿池泉自出,開徑草重生。

百尺金輪閣,當川豁眼明。

 

804_25  《題隱霧亭

題隱霧亭

春花秋月入詩篇,白日清宵是散仙。

空卷珠簾不曾下,長移一榻對山眠。

 

 

 

魚玄機 《江行 二首 其二》

 

 

訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9853

 

 

 

 

804_22 【江行】魚玄機

江行 二首
其一
(李億に待ちぼうけを食らい、棄てられた魚玄機が、武昌、鸚鵡洲の旅情と心情を述べたもの。)

大江橫抱武昌斜,鸚鵡洲前萬家。
大いなる長江の流れのむこうに、斜めに広がる武昌の町が見える。まるで長江が町をかかえこんでいる。そこに鸚鵡洲があり、家が万戸建っている。
畫舸春眠朝未足,夢為蝴蝶也尋花。
華やかな舟の旅はずっとのんびりしたもので、春の朝の今朝も、まだ眠りが足りない感じである。またうとうとするうちに荘周の「蝴蝶」のように、夢のなかで花から花へ、またも飛びまわったのである。

其二
 (航行中の船の中から、春かすみに煙る鸚鵡洲を過ぎて、漢江の入り口付近に到着していたと抒情を詠う)

煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。
春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。
船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。


江行 二首 其一
大江 橫にして武昌を斜にするを抱く,鸚鵡 洲にして
 萬家を前にす。
畫舸【がか】春眠 朝 未だ足らず,夢に蝴蝶と為りて 也た花を尋ぬ。

江行 二首 其二
煙花 已に入る 鸕鶿【ろじ】の港,畫舸 猶お沿う鸚鵡の洲。
醉臥 醒吟 都て覺らず,今朝 漢江の頭【ほとり】に在るを驚く。


『江行 二首 其二』 現代語訳と訳註
(
本文)
煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。
醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。


(下し文)
江行 二首 其二
煙花 已に入る 鸕鶿【ろじ】の港,畫舸 猶お沿う鸚鵡の洲。
醉臥 醒吟 都て覺らず,今朝 漢江の頭【ほとり】に在るを驚く。


(現代語訳)
 (航行中の船の中から、春かすみに煙る鸚鵡洲を過ぎて、漢江の入り口付近に到着していたと抒情を詠う)

春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。

(訳注)
江行 二首 其二
1. (航行中の船の中から、春かすみに煙る鸚鵡洲を過ぎて、漢江の入り口付近に到着していたと抒情を詠う)

2. 漢江をくだり、長江との合流驛につき、むこうに武昌のにぎやかな市街、こちらがわに鸚鵡洲を見て、舟中での作。

3. この詩も唐時代の地名と詩の雰囲気が合わないような気がする。唐の時代の武昌は現在の位置とは全く違うところにあり、長江の流れ、湿地帯、中州の様相が全く違うのである。魚玄機は漢江を下って武昌に着いたのであればどこへ行こうというのか。
この詩は魚玄機が想像で作ったものであるということであれば、客のお題に沿って詩を作ったということではなかろうか。魚玄機の詩に地名が出て來ると地図で確認するとどこかずれているのである。したがって、その地名で魚玄機の足跡は確かなものとはいえなし、判断を間違える。地図を参照されたい。大系15の解釈は魚玄機が漢江を下って長江(揚子江)との合流地点を詠ったものとしている。その根拠は武昌という地名で、地図では
i-6地点である。しかし、中国歴史地図六朝時代から隋、唐、宋まで丹念に確認したが、jk-5地点なのである。詩の雰囲気もいかにもお座敷で作られたように現実感のない詩であるのもうなずけるのではなかろうか。江行 二首についても、私には現実感が全くないとしか思えないのである。


煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。
春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
4. ・煙花(えんか) 花がすみ。春の景色。
5.
 ・鸕鶿 鵜のとり。中國古代より鵜飼が行われていた様でその港ではなかろうか。この二句は対句を意識しているため想像で描く風景であろう。


醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。
船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。
6. ・漢江頭 かんこうのほとり) 漢江が長江に合流するところ。

魚玄機の詩は李白の『鸚鵡洲』を参考にしてお座敷で作られたものと考える方が妥当ではなかろうか。つまり、ここに魚玄機は旅行していないのである。
鸚鵡洲(李白 唐詩)
鸚鵡來過
江水,江上洲傳鸚鵡名。
鸚鵡西飛隴山去,芳洲之樹何青青。
煙開蘭葉香風暖,岸夾桃花錦浪生。
遷客此時徒極目,長洲孤月向誰明。

この詩においては、森鴎外の判断の方が正しいものと思われる。

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プロフィール

HN:
漢文委員会 紀 頌之(きのあきゆき))
年齢:
78
性別:
男性
誕生日:
1946/09/10
職業:
文学者
趣味:
中国文学
自己紹介:
漢詩から唐・宋詩まで基本となる詩人・詩集を各全詩訳注解説してゆく、その中で、これまで他ブログに、掲載した女性の詩を、手を加えて、整理して掲載してゆく。
これまで日本では紹介されていないもの、誤訳の多かった詩などを、時代の背景、出自、その他関連するものなどから正しい解釈を進めてゆく。
毎日、20000文字掲載しているので、また、大病後で、ブログコミュニケーションが直ちに取ることができないけれど、精一杯努力してお返事いたします。

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