詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。
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九、集-08【字解集】 36.代人悼亡 37.和人 38.隔漢江寄子安 39.寓言 40.江陵愁望寄子安
2018年1月28日 |
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●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」。、現在、①李白集校注詩全詩、②昌黎先生集全40巻他全詩、③杜詩詳注、④花間集、⑤玉臺新詠、⑥薛濤詩 全訳注解説 |
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九、集-08【字解集】 36.代人悼亡 37.和人 38.隔漢江寄子安 39.寓言 40.江陵愁望寄子安 魚玄機 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ10028
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魚玄機 全詩 訳注解説 |
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卷804_36 《代人悼亡
曾睹夭桃想玉姿,帶風楊柳認蛾眉。
珠歸龍窟知誰見,鏡在鸞臺話向誰。
從此夢悲煙雨夜,不堪吟苦寂寥時。
西山日落東山月,恨想無因有了期。
卷804_37 《和人
茫茫九陌無知己,暮去朝來典繡衣。
寶匣鏡昏蟬鬢亂,博山爐暖麝煙微。
多情公子春留句,少思文君晝掩扉。
莫惜羊車頻列載,柳絲梅綻正芳菲。
卷804_38 《隔漢江寄子安
江南江北愁望,相思相憶空吟。
鴛鴦暖臥沙浦,鸂鶒閑飛橘林。
煙裏歌聲隱隱,渡頭月色沈沈。
含情咫尺千裏,況聽家家遠砧。
卷804_39 《寓言
紅桃處處春色,碧柳家家月明。
樓上新妝待夜,閨中獨坐含情。
芙蓉月下魚戲,螮蝀天邊雀聲。
人世悲歡一夢,如何得作雙成。
卷804_40 《江陵愁望寄子安
楓葉千枝復萬枝,江橋掩映暮帆遲。
憶君心似西江水,日夜東流無歇時。
【字解集】 36.代人悼亡
代人悼亡
1. (人に変わってと設定して、自分の大事な人が死んでしまったらどんなふうに思うのであろうかと詠う。)
2. ・悼亡 妻の死を悲しむこと。晋の潘岳が妾の死をいたんで「悼亡」とこう題する三首の詩を作ったのにはじまる。潘岳:安仁。滎陽(けいよう)中牟(河南省)の人。陸機と並ぶ美文の文学の大家で,錦を敷きのべたような絢爛(けんらん)たる趣をたたえられた。ことに人の死を悼む哀傷の詩文を得意とし,亡妻への尽きぬ思いをうたった〈悼亡詩(とうぼうし)〉3首はよく知られる。絶世の美男として,また権門の間を巧みに泳ぎまわる軽薄才子として,とかく話題にこと欠かなかった。八王の乱の渦中で悲劇的な刑死を遂げた。
和新及第悼亡詩二首 其一 魚玄機 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-87-23-# 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1982
和新及第悼亡詩二首 其二 魚玄機 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-88-24-# 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1987
曾睹夭桃想玉姿,帶風楊柳認蛾眉。
咲きほこっている桃の花の姿を見ては、おまえのようだと思ったことがあった。春風にゆれている楊柳の葉を見ては、おまえの眉の形にそっくりだと思ったこともあった。
3. ・夭桃 美しく咲いた桃の花。若い女性の容色の形容に 用いる。桃夭。
4. ・楊柳(ようりゅう) 柳のこと。ここは柳の葉を指す。
5. ・蛾眉 要人の眉のこと。蛾の細長くまがっている触角を、美人の票しい眉にたとえていう。「詩経」の衛鼠の「碩人」に、「藻首蠍眉、巧笑借たり」という句がある。起こ句とも「詩経」をふまえていることに注意。
珠歸龍窟知誰見,鏡在鸞臺話向誰。
龍のあざとの下にあるという千金の玉にもたとえたい女だった。今では、もとの龍のすむ淵へもどってしまった。だから、誰にしたっておまえを見にゆくことは、できないのだ。あの愛用の鏡塞がのこっている。その鏡のなかから、にっこりしてわたしに話しかけてきたものだが、今ではわたしがのぞいてみても、話しかけてくれるひとはいない。
6. ・龍窟 「荘子」の列禦寇第三十二に、竜の棲む探い淵から、千金の値うちがある珠を、竜か眠っている問に、そのあざとからとってきた男の話がのっている。ここは亡き妻を、その千金の珠にもたとえたいほど、たいせつなものと考え、それがもとのところへもどった今、誰も奪い返すことはできないの意。
7. ・鸞臺 鸞は仮想の鳥の名で、鳳凰のたぐい。五色のうちとくに青い色の多い羽をもっていると考えられている。
8. 鸞臺 鏡中鸞 金属製の鏡の背面に彫られた鸞の模様が「双鳳文鏡」であり、離ればなれのつがいの鸞がお互いを求め合う姿を彫刻しているものが多い。「鸞鏡」は、愛し合う(時にはなれねばならない)男女の思いを映し出す鏡をしめす。鸞は理想郷に棲む想像上の鳥。羽の色は赤色に五色を交え声は五音に合うという。白楽天「太行路」に鏡中鸞を引き合いにし男女について詠っている。
從此夢悲煙雨夜,不堪吟苦寂寥時。
これからは、細雨が煙のように細くしとしとと降る夜には、夢をみて、ひとしお悲しい思いをすることだろう。寂しい時に思い出が強くて詩を作ることもくるしくてたえきれない。
9. ・煙雨 けぶるような雨。細雨が煙のように細くしとしとと降っているありさま。
10. ・吟苦 吟は詩を口ずさむこと。吟苦は詩作の苦。
11. ・寂蓼(せきりょう) さびしいこと。
西山日落東山月,恨想無因有了期。
西の山に日が落ち、月が東の山のはからのぼってくる。満たされぬ夜が又来る。限りなく夜ごとにつづくこのおもいはいつおわるということもなくつづくのだろう。
12. ・了細 終了の時期。.
【字解集】 37.和人
和人
1. (咸宜観にはいって女遺士として暮らしていたころのある日、客のひとりが留守中にたずねてきて、詩を置いていった。これに対して、返した歌である。)
2. この詩も「漢詩大系15」P145-146の解釈はどうかしているとしか思えない。私の解釈と比較されたい。
意味深な語句は花街の女性であったから男に対して自分に対して関心を引こうというとしていうのである。同時に、プライドの高い女性である。詩は、杜甫でも数が少ないのように七言律詩を詠っている。
茫茫九陌無知己,暮去朝來典繡衣。
これだけ広い長安の大通り、長安の街で知己を通じて援助を受けようなどとは思いません。くる日もくる日も、毎日のように、着物を質に入れて、くらしています。
3. ・茫茫 遠く広いさま。
4. ・九陌 九陌はもともと南北に通じている田の畦みちをいったが、後には、都会の街もいうようになった。九陌は、漢の都の長安にあった九つの大道を指したが、これも転じて、ひろく都大路をいうことになった。ここでは唐の長安城においても南北の通りは九本である。
5. ・暮去朝来 くる日もくる日も、毎日のように。
6. ・繍衣 ぬいとりのある着物。ここではたんに着物。
7. ・典 衣類を入質すること。これは惨めな事と解釈するのは間違い。儒教、道教問わず、その日を楽しく過ごすことを矜持の事としていっているわけである。杜甫『曲江三章章五句(2)』『奉陪鄭駙馬韋曲二首其一』 杜甫 樂遊園歌 杜甫
寶匣鏡昏蟬鬢亂,博山爐暖麝煙微。
美しい小箱に以前使っていた鏡を曇らせたままに収めております。前のように蟬髪にすることではなくてそのままおろして修行しております。「博山爐」で麝香をたまにたくだけで微かにその香を残すのです。
8. ・寶匣 匣はハコ。宝は単に美しい意。
9. ・昏 うす暗い。磨くのを怠っているから。
10. ・蟬鬢 女の髪をゆった形が、蝉の羽のようだから畔蛍という。
11. ・繍衣・宝匝撃、みな美しい語を使っただけで、上にかぶせた形容詞に深い比重はおいていない。詩語というものである。
12. ・博山爐 仙山のかたちをした香炉のこと。
李白 「楊叛兒」
君歌楊叛兒、妾勸新豐酒。
何許最關人、烏啼白門柳。
烏啼隱楊花、君醉留妾家。
博山爐中沈香火、雙煙一氣凌紫霞。○博山香 「博山」という仙山のかたちをした香炉かんたんにいえは、山の形をした香炉である。博山は、山東省にある山の名。炉の形は山形をしているが、下の盤に湯を入れ、それに蒸されて、上にある香が煙になって昇るように仕掛けたものらしい。
13. ・麝煙微 麝香の煙がわずかに立ちのぼっている。麝香は貴重高価なものであった。微の字に重点があり、たまにたくことでほのかに残している。修行において香は重要である。以前は客を迎えるために焚いたものと比較する。漢詩ブログについて、と李白36 楊叛兒と蘇東坡-蘇軾 ⑪江城子 密州出猟
多情公子春留句,少思文君晝掩扉。
ご厚情にもあなた様はおいでくださいまして、わたくしの「春のきもち」を呼び戻す詩句を残してくれました。卓文君のように詩文で少し心が動きますが、今、お昼は修行での身ですから表の門も閉めたままにしております。
14. ・少思 思うことの少ない、自分を文署にたとえ、それに比べれば物思い、恋心の少ないといったもの。
15. ・文君 蜀の司馬相如の妻であった卓文君。卓文君は司馬相如の詩文を見て司馬相如のもとに走った。自分をそれにたとえていう。
莫惜羊車頻列載,柳絲梅綻正芳菲。
修業の時はおいでくださいましても、なんの風情もございません。修行のない時、このわたくしを車にのせて、いっしょに郊外へ行楽しましょう。それでしたら何度でもお供いたします。柳も芽をふき、梅の花もほころび、草もよい香の花を咲かせているころには楽しみしております。
16. ・羊車 羊にひかせる小型の車、控えめに言っている。
17. ・列戴 ならんでのせること。道女がたくさんいて、どの車にも女を同伴してのせていること。
18. ・柳絲 柳の枝が芽をふくこと。
19. ・梅綻 梅の花がほころびること。
20. ・芳菲 芳も菲も、ともにかんばしいことをいう。
李白『春日獨酌 二首 其一』
東風扇淑氣、水木榮春暉。
白日照綠草、落花散且飛。
孤雲還空山、眾鳥各已歸。
彼物皆有托、吾生獨無依。
對此石上月、長醉歌芳菲。
【字解集】 38.隔漢江寄子安
隔漢江寄子安
1. (遠く漢江の向こうにいる子安寄せる。)
2. ・漢江 漢水のこと。陝西省の南部に発し、河北省の洪ロで、長江にそそぐ大きな河。
3. ・子安 李億のあざな。
4. ・長安に居て漢江にいる夫に寄せたもの。この詩を魚玄機が鄂州まで行って詩たものという無茶な論(漢詩大系15、P147)があるが、漢江の江口に居てので待っていて思い込みの解釈の典型であろう
江南江北愁望,相思相憶空吟。
江南でしょうか、江北でこうか気になってなりません。あなたは私を思い私はあなた思って、むなしく詩をよんでいます。
5. ・江南江北 長江を境に南側か、北側の流域、長江の中流域から下流域のかなり広範囲を示す。
6. ・相憶 李億を思うこと。
鴛鴦暖臥沙浦,鸂鶒閑飛橘林。
おしどりが船着き場の白砂の上に、日なたほっこしているだろうし、橘の林では、時おり、兄弟鳥の鸂鶒が、いっしょに飛んでいるのが、見えているでしょう。
7. ・鴛鴦 おしどり。
8. ・沙浦 河水の船泊りになっているところで、砂地のあるところ。港の女に手を出しているのではないかという意味。
9. ・暖臥(だんが) ひなたぼっこしている。
10. ・鸂鶒 【けいせき】おしどり。兄弟の喩えにされる鳥。杜甫はよく使う。鸂鶒【けいせき】紫おしどり。謝霊運『鸂鶒賦』「覧水禽之萬族、信莫麗干鸂鶒。」(水禽之萬族を覧るに、信に干鸂鶒麗しきは莫し。)水鳥。いろいろに書く。鳥の名。常葉の大きなもので、紫色が多いので、紫鷲喬ともいう。
杜甫『春水生 二絶其一』
二月六夜春水生,門前小灘渾欲平。
鸕鸂鸂鶒莫漫喜。吾與汝曹俱眼明。春水生 二絶其一 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 9) 杜甫 <414> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2015 杜甫詩1000-414-597/1500。
煙裏歌聲隱隱,渡頭月色沈沈。
夕暮れのもやが、河の水面にたちこめて、そのもやのむこう、あなたのおいでになっている町のあたりから、歌姫の歌輩が、かすかに聞こえているのでしょう。渡し場のあたりには、次第に夜がふけて、今、月が静かに照っています。さびしい景色です。
11. ・煙裏 ゆうもやのうち。
12.・波頭 わたしばのあたり。
13. ・沈沈 夜がふけて、ものしずかなさま。杜博の詩に、「月寒く天清く、夜沈々」という句がある。
含情咫尺千裏,況聽家家遠砧。
結局思わせぶりの心では、心でつながって間近なはずがまるで千里も遠くへいらっはなれてしまったのでしょう。それどころか、ここ長安ではあちこちの家で打っているきぬたの音が、遠くからつたわってきます。
14. ・含情 風情のあること。感情を抑えて胸中に収めておく。思うことをそれとなく咀ブルで見分けること。男の思わせぶりな態度ということ。
15. ・咫尺 咫は、周代の制度で八寸。爬尺で、ごく短い距離をいう。「目と鼻のさき」ということばがよく当たる。
16. ・遠砧 遠くで打っているきぬたの音。きぬたは、洗濯した布をきねで打って、縫う用意をする。女の仕事。
【字解集】 39.寓言
寓言
1. (いつもふと考えるのは、おんなというものは、春の景色を産む、草木花鳥の華やかな時が一番なのか、それを過ぎれば、曠朗で一人さびしく、月明かりに、虹に、希望を持って生きるという事になるのか。)
2. 「寓言」を内容を見ると「つれづれに」ということである。李億のもとめられる前、初期の作である。王維の田園楽の影響を受けて作ったものと思われる。
他の物事にことよせて意見や教訓を述べた言葉。 たとえ話。詩語としては「つれづれに」というところ。【寓言法】修辞法の一。言おうとすることを、比喩によって暗に悟ら せる手法。古代の哲学者荘子の寓言論にならって非論理の滑稽を事とする理論的に裏付けようと試みたもの。
紅桃處處春色,碧柳家家月明。
紅い桃の花がが、あちらでも、こちらでも、春景色にしてくれる。青色がましている柳のむこうに月の光にてらされた家々がある。
3. 紅桃・碧柳 王維の六言詩に、「桃紅復た村雨を含み 柳緑更に朝煩を帯ぷ」の句がある。作者はそれを想起しながら、この作を作ったのかもしれない。
田園楽 七首 其六
桃紅復含宿雨、柳緑更帯春煙。
花落家童未掃、鶯啼山客猶眠。
1千門 |
2再見 |
3採菱 |
4芳草 |
5山下 |
6桃紅 |
7酌酒 |
春曉 孟浩然
春眠不覺曉,處處聞啼鳥。
夜來風雨聲,花落知多少。
春の眠りは心地よいので、夜が明けるのも分からずに眠ってしまう。ふと目覚めるとあちこちから鳥のさえずりが聞こえてくる。
そういえばゆうべの雨風の音が激しかったが、今朝の庭にはどれほどの花がたくさん散ったことだろう。
樓上新妝待夜,閨中獨坐含情。
高殿の上では、夜の新しい化粧も美しく待っている女がいる。その楼には部屋にひとりで、いつまでも坐ったきり、思わせぶりな態度の男を待っている。
4. ・新妝 新しく化粧すること。
5. ・閨中 閑は女のへや。
6. ・含情 風情のあること。感情を抑えて胸中に収めておく。思うことをそれとなくそぶるそぶりで見分けること。男の思わせぶりな態度ということ。
芙蓉月下魚戲,螮蝀天邊雀聲。
月明かりのもとに池のはす葉、魚がたわむれて泳いでいる。大空に大きく虹がかかって、かささぎが聾をたてて、鳴いている。きっといいことがあるのでしょう。
・芙蓉 蓮の異名。蓮の字は音レン、恋の音とおなじ。ここではその実の意味もふくめてよんでいる。
7. ・螮蝀 虹のこと。あでやかな女性を云う。「詩経」の鄘風に野焼を題にした作があり、「蝃蝀在東,莫之敢指,女子有行,遠父母兄弟。」(螮蝀、東に在り、これを敦へて指さすなし。女子行有り,父母兄弟遠る。)とある。
8. ・雀聲 かさきざが鳴くこという。前句の螮蝀により、喜び事が訪れる前ぶれの意。
人世悲歡一夢,如何得作雙成。
人世は、そのように、悲しみと喜びとが春の夜の夢ののようなもの。どうして、女が思う夢が、ふたつそろって遂げられないのでしょうか。
9. ・悲歡 歓は、よろこび。
10. ・雙成 女が思う夢が、ふたつそろって遂げられること。花街の女は、年をとっったらどうなるのか心配なのである。
11. ・如何 どうして‥・.・・できようぞ。なんとかして……したいものだの意。
王維 六言詩 桃紅 碧柳
田園楽七首其六
桃紅復含宿雨、柳緑更帯春煙。
花落家童未掃、鶯啼山客猶眠。
桃は紅にして、復(ま)た宿雨(しゅくう)を含み、
柳は緑にして、更に春煙(しゅんえん)を帯ぶ。
花落ちて 家僮 未(いま)だ掃(は)らわず、
鶯啼いて 山客 猶(な)お 眠る。
王 維 田園楽 七首 |
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1千門 |
2再見 |
3採菱 |
4芳草 |
5山下 |
6桃紅 |
7酌酒 |
【字解集】 40.江陵愁望寄子安
江陵愁望寄子安
1. (江陵でとてもさびしい気持ちでいらっしゃるでしょう子安様よせる。)
2. ・江陵(こうりよう) 地名。湖北省の都市で、長江にのぞむ。武漢の上流にある。旧名荊州。天宝元年に江陵郡治となる。長安にいる魚玄機はこの時は李億がいる場所を知らないので漠然とした地名を挙げている。魚玄機が旅をして江陵にいるのではない。
この時、李億は、「江北」の江陵にいるのか、「江南」の岳州にあったか、「江南」の遠く浙江の地にあったか、ということがわからなかったのである。つまり早い段階で、李億は嫉妬心の強い正妻に第二夫人の魚玄機と別れさせられていたのである。そのことを知らない魚玄機が健気にも詩を作って贈ったのである。
ただ、花街で育った魚玄機にとって、李億の心変わりは判ってはいたことであろう。この詩は、「寄せる」と題しながら、李億に対する別れを意味した詩である。
3. ・愁望 旅先の遠く李億がきっと憂愁の思いを抱いているであろう方を望むのである。この場合の「愁望」は魚玄機は寄せるのであるから、愁う、望むの主語は相手、つまり李億である。中国人の表現は自分も愁いにも持っていますがあなたはもっと愁いを持っておられるでしょうねということであり、だからこの詩を寄せるのですということである。漢文大系15の語訳はこのあたりが魚玄機が捨てられて狂ってしまったと思い込んでしまい「誤訳」しているのである。魚玄機は江陵にも、武漢にも鄂州にも来ていないのである。
4. ・子安 李億のあざな。
楓葉千枝復萬枝,江橋掩映暮帆遲。
楓のまっ赤な千の枝が、万の枝に変わり秋も深まってきています。あなたのいらっしゃる大江の渡し場付近でも紅葉は広がって水面に映しているでしょう。あなたからのお手紙もなく心変わりされたことも船がなかなかつかないことのように感じております。
5. ・楓葉 かえでの葉。楓や楡の木は西の方角、落ち葉を示し、暗に相手に対する気持ちがなくなってくることを確認するものと思われる。
6. ・江橋 河にかけた橋。この江は長江で、土地勘のない魚玄機の表現である。この時代に江と呼ばれる大江にかかる橋はできていない。渡し場を示すもの。
憶君心似西江水,日夜東流無歇時。
私のあなたを思う気持ちは長江の西の水と同じなのです。それは片時もやむことなく、東流していてやむ時がないことと同じことなのです。
7. ・君 李億をさす。
8. ・西江 広西省を流れる西江でもなければ、また湖北の監利県の東南にある西江をさすのでもなく、たんに普通名詞のように 「この西方にある川」というていどの意。つまり、西江をうけての下句、東流である。
9. ・東流 東へむかって流れる。中國では常識を示す言葉であり、仕方ない出来事を云うものである。つまり、夫が、別の女のもとに走り、世継ぎを産んだ正妻は厳然として、自分は第二夫人であること、それらは判っておりますというあきらめほどの意味。
10. ・歇 やすむ、つきる。本当に愛し合っているときにこんな表現はしないものである。