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中国文学 李白・杜甫・韓愈・李商隠と女性詩 研究

詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。

九、集-05【字解集】 21.秋怨22.江行 二首23.聞李端公垂釣回寄贈24.題任處士創資福寺25.題隱霧亭 漢文委員会 紀 頌之 ブログ9881

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九、集-05【字解集】 21.秋怨22.江行 二首23.聞李端公垂釣回寄贈24.題任處士創資福寺25.題隱霧亭 漢文委員会 紀 頌之 ブログ9881

【字解集】 21.秋怨 22-1.江行 二首 其一 22.-2.江行 二首 其二 23.聞李端公垂釣回寄贈 24.題任處士創資福寺 25.題隱霧亭  <魚玄機>

 

2018114

の紀頌之"6"つの校注Blog

746-【字解集】21.魯東門觀刈蒲 22.魯郡堯祠送 23.魯郡堯祠送張

#29§7-1元和聖德詩

九日五首 其四-#2

酒泉子七首其一

樂府詩二首其一 #4擬相逢狹路間〔荀 昶〕

【字解集】 21.秋怨22.江行 二首23.聞李端公垂釣回寄贈24.・・・25.・・・

李白詩

韓愈詩

杜甫詩

花間集

玉臺新詠

中国古代史女性論

 

九、集-05【字解集】 21.秋怨 22-1.江行 二首 其一 22.-2.江行 二首 其二 23.聞李端公垂釣回寄贈 24.題任處士創資福寺 25.題隱霧亭  魚玄機 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9881 

 

 

 

魚玄機 全詩 

 

 

全唐詩    詩題

804_21  《秋怨 

秋怨

自嘆多情是足愁,況當風月滿庭秋。

洞房偏與更聲近,夜夜燈前欲白頭。

 

804_22-1 《江行 二首 其一》

其一

大江橫抱武昌斜,鸚鵡洲前萬家。
畫舸春眠朝未足,夢為蝴蝶也尋花。

 

804_22-2 《江行 二首 其二

其二

煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。

醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。

 

804_23  《聞李端公垂釣回寄贈

聞李端公垂釣回寄贈

無限荷香染暑衣,阮郎何處弄船歸。
自慚不及鴛鴦侶,猶得雙雙近釣磯。

 

804_24  《題任處士創資福寺

題任處士創資福寺

幽人創奇境,遊客駐行程。

粉壁空留字,蓮宮未有名。

鑿池泉自出,開徑草重生。

百尺金輪閣,當川豁眼明。

 

804_25  《題隱霧亭

題隱霧亭

春花秋月入詩篇,白日清宵是散仙。

空卷珠簾不曾下,長移一榻對山眠。

 

 

 

魚  玄  機

 

 

訳注解説  字解集

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9881

 

 

 

 

【字解集】 21.  秋怨

秋怨
1. (秋の長い夜を怨む)
2. 【題意】李白『秋思』『春思』、『静夜思』『玉階怨』『春怨』などに共通しているのは女性は一人の男性のことを思う。それは、戰に出て帰ってこない男、商売で旅に出て帰ってこない男、浮気者の男性が帰ってこない女性を男の目線から詠っているものである。あるいは女性の詩であれば一人の男しか相手にできないという前提があるのである。果たして当時の社会の男女の間の事がそれほど詩に取り上げられるということは逆に一般的に貞操感がないから、男の希望として、一人の男を思うという詩が成り立つのではなかろうか。
3.
 【解説】 魚玄機は、自分自身多情であるといって嘆くのである。この表現は素晴らしく、こんな表現は中国歴史上魚玄機が初めてであろう。決して芸妓だから言えたわけではないのである。
ただ、この詩も大系15では李億に棄てられた魚玄機が一人で過ごす夜が耐えられないという偏った意味で解釈されているが、これは間違っている。魚玄機の詩のよい所をすべて否定した儒教的解釈は面白くない。


自嘆多情是足愁,況當風月滿庭秋。
自分自身でも浮気っぽい気持ちを持っている。とても一人の男だけを考えいろいろ愁いているということが出来ない。なげかわしいことかもしれません。まして、風がそよぎ、満月が出ているこんな風流な雰囲気が庭中にいっぱいに広がっている秋の夜なのです。
4. ・多情 1 情が深くて、感じやすいこと。また、そのさま。「―な青年期」「―多感」 2 異性に対する心が移りやすいこと。また、そのさま。移り気。
5.
 ・足愁 十分な愁い。限りないさびしさ。
6.
 ・況(いわんや)まして。


洞房偏與更聲近,夜夜燈前欲白頭。
そんな夜なのにこの寝室で困った事と思いすごす。夜更けの時を告げる太鼓の音が聞こえてくる。もう夜明けが近くなったのでしょうか。それが毎夜毎夜部屋の燈火の前でこんな調子ではきっと若白髪になってしまいます。
7. ・洞房 婦人のへや。女の寝室。
8.
 ・偏(ひとえに) 不公平な意。やれやれこまったことに、の心をふくんだ副詞。
9.
 ・更聾(こうせい) 更は、夜の間の時間を五つに区切ることばで、初更が八時、二更が十時、三更が十二時、四更が午前二時、五更が午前四時。そのたびにその時刻を知らせるため城樓で太鼓が打たれる。更声はしたがって鼓声でもある。すぐ近くでその大鼓が鳴る。いっそ聞こえなければよいものをという心が「偏」という字にふくまれている。
10.
 ・欲 欲望の欲でなく、まさに何々せんとすの意。
11.
 ・白頭 白髪の頭。憂いのために白髪がふえていく。

 

 

 

 

 

 

 

【字解集】 22-1. 江行 二首 其一

江行 二首 其一
1.
  (李億に待ちぼうけを食らい、棄てられた魚玄機が、武昌、鸚鵡洲の旅情と心情を述べたもの。)

2. 漢江をくだり、長江との合流驛につき、むこうに武昌のにぎやかな市街、こちらがわに鸚鵡洲を見て、舟中での作。


大江橫抱武昌斜,鸚鵡洲前萬家。
大いなる長江の流れのむこうに、斜めに広がる武昌の町が見える。まるで長江が町をかかえこんでいる。そこに鸚鵡洲があり、家が万戸建っている。
3. ・大江 川幅の広いものをいうが、ここでは長江、すなわち下流の揚子江。
4.
 ・鸚鵡洲 漢江が長江:揚子江にそそぐ出口のところにあった州のような平板な島。
5.
 ・戸 いえ。


畫舸春眠朝未足,夢為蝴蝶也尋花。
華やかな舟の旅はずっとのんびりしたもので、春の朝の今朝も、まだ眠りが足りない感じである。またうとうとするうちに荘周の「蝴蝶」のように、夢のなかで花から花へ、またも飛びまわったのである。
6. ・畫舸 彩色を施した船。舸はふね。画は美しく絵どられた飾られた意であるが、詩語として冠したもの。
7.
 ・春眠 孟浩然『春曉』「春眠不覺曉,處處聞啼鳥。夜來風雨聲,花落知多少。」仕事のない退屈さと風流な気分での朝を詠うもの、ここでも何にもすることのないことを詠う。
8.
 ・夢為蝴蝶 昔、荘子がで、蝶になった夢をみて、その自由さに暁の夢が覚めてのち、自分の夢か、蝶の夢かとと疑ったという。蝶のように華麗で自由にあなたのもとに飛んでいければいいのに。また、昔の望帝はその身が朽ちて果ててもの春目くその思いを、杜鵑(ホトトギス)に托したという。愛への思い焦がれる執着心はそのように、昼も夜も四六時中、哀鳴するものなのだ。
9.
 ・蝴蝶 荘周が夢の中で蝶になり、夢からさめた後、荘周が夢を見て蝶になっているのか、蝶が夢を見て荘周になっているのか、一体どちらなのか迷った。 
荘子 内篇齊物論 (最終段)
昔者、荘周夢為胡蝶。栩栩然胡蝶也。
自喩適志与。不知周也。
俄然覚、則遽遽然周也。
不知周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与。
周与胡蝶、則必有分矣。此之謂物化。
(昔者、荘周夢に胡蝶と為る。栩栩然として胡蝶なり。
自ら喩しみ志に適へるかな。周なるを知らざるなり。
俄然として覚むれば、則ち遽遽然として周なり。
知らず周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるか。
周と胡蝶とは、則ち必ず分有らん。此れを之れ物化と謂ふ。)

 

 


 

 

 

 

 

【字解集】 22-2. 江行 二首 其二

江行 二首 其二
1. (航行中の船の中から、春かすみに煙る鸚鵡洲を過ぎて、漢江の入り口付近に到着していたと抒情を詠う)

2. 漢江をくだり、長江との合流驛につき、むこうに武昌のにぎやかな市街、こちらがわに鸚鵡洲を見て、舟中での作。

3. この詩も唐時代の地名と詩の雰囲気が合わないような気がする。唐の時代の武昌は現在の位置とは全く違うところにあり、長江の流れ、湿地帯、中州の様相が全く違うのである。魚玄機は漢江を下って武昌に着いたのであればどこへ行こうというのか。
この詩は魚玄機が想像で作ったものであるということであれば、客のお題に沿って詩を作ったということではなかろうか。魚玄機の詩に地名が出て來ると地図で確認するとどこかずれているのである。したがって、その地名で魚玄機の足跡は確かなものとはいえなし、判断を間違える。地図を参照されたい。大系15の解釈は魚玄機が漢江を下って長江(揚子江)との合流地点を詠ったものとしている。その根拠は武昌という地名で、地図では
i-6地点である。しかし、中国歴史地図六朝時代から隋、唐、宋まで丹念に確認したが、jk-5地点なのである。詩の雰囲気もいかにもお座敷で作られたように現実感のない詩であるのもうなずけるのではなかろうか。江行 二首についても、私には現実感が全くないとしか思えないのである。


煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。
春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
4. ・煙花(えんか) 花がすみ。春の景色。
5.
 ・鸕鶿 鵜のとり。中國古代より鵜飼が行われていた様でその港ではなかろうか。この二句は対句を意識しているため想像で描く風景であろう。


醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。
船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。
6. ・漢江頭 かんこうのほとり) 漢江が長江に合流するところ。

魚玄機の詩は李白の『鸚鵡洲』を参考にしてお座敷で作られたものと考える方が妥当ではなかろうか。つまり、ここに魚玄機は旅行していないのである。
鸚鵡洲(李白 唐詩)
鸚鵡來過
江水,江上洲傳鸚鵡名。
鸚鵡西飛隴山去,芳洲之樹何青青。
煙開蘭葉香風暖,岸夾桃花錦浪生。
遷客此時徒極目,長洲孤月向誰明。

この詩においては、森鴎外の判断の方が正しいものと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

【字解集】 23.  聞李端公垂釣回寄贈

聞李端公垂釣回寄贈

1. (李郢御史さまが、釣をなさってお歸りになったといううわさを聞いて贈る詩。)

2. ・李端公 端公は侍御史(官名)の別名。李は李郢。
3.
 ・李郢 茶山貢焙歌 (晩唐) 李郢 山水詩など奇麗な詩を書く。魚玄機とは11歳違いで、温庭筠と共にしをまじ合わせた。
唐才子傳に「李郢郢,字楚望,大中十年崔
榜進士及第。初居余杭,出有山水之興,人有琴書之,疏于馳競。歷為藩鎮従事,后拜侍御史。郢工詩,理密辭閑,個個珠玉。其清麗極能寫景狀懷,每使人竟日不能釋卷。與清塞、賈島最相善。」とある

唐才子傳 李郢   ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-84-20-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1967

 

無限荷香染暑衣,阮郎何處弄船歸。

はすの香りを夏のお着物にいっぱいにつけてお歸りなされたということですが、あなた様はいったいどちらへ釣舟をお出しになったのでございましょうか。

4. ・荷香 荷は蓮。

5. ・阮郎 花街では桃源郷を花街とし、宮女に逢うことから、男性を呼ぶ場合阮肇の故事をもじってこう呼ぶ。『幽明録』にある民話では、漢の明帝の永平5年(62年)に剡県で、劉晨と阮肇が天台山で宮女に出会い、村へ帰ると七代後の子孫が住んでいた。この変形で「仙女の洞窟」という民話では、劉晨と阮肇が山で迷い込んだ洞窟で仙女が碁を打っていた。村へ帰ると4500年が過ぎており、洞窟に戻ると扉が閉じていて、二人は頭を壁に打ちつけて死んでしまった。天はこれを哀れんで、二人を幸運の神と悪運の神に任命した。


自慚不及鴛鴦侶,猶得雙雙近釣磯。
私の世界では男の人におしどりのように気配りをさせていただくことは当然のことですがそれもできないこと私自身恥入っております。なお、又この次に船を並べるかお近くにお立ち寄りの事がありましたら今度こそお仕えさせていただきます。

6. この詩の関連性のある魚玄機の詩

酬李郢夏日釣魚回見示 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩-19-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1962

『酬李郢夏日釣魚回見示』 

(李郡さまが「夏日魚を釣りて回る」詩をお見せいただいたことに酬ゆる。)

住處雖同巷,經年不一過。

清詞勸舊女,香桂折新柯。

道性欺冰雪,禪心笑綺羅。

跡登霄漢上,無路接煙波。

住いとするところをおなじような坊の一角に居りながら、もうかれこれ一年、一度もお立ち寄りになりません。昔なじみであるこのわたくしに清らかな詩をくださいました。新しい人生に再出発しなさいと元気づけられました。今の私は、道家の教えを欺くことなどは氷や雪よりも清らかに冷たくしております。おめかしをして微笑を返して男の心をひこうとすることなどは心から軽蔑しています。道家の修行により、その道を昇って行き仙界の銀河の空に昇りたいと思っています。男にすがる道は考えてもいません、今からは蒼海の波とかすみのような山水自然に向き合って行こうと思っています。

(李郢の「夏日魚を釣りて回る」を示されしに酬ゆ)
住處 巷を同じうすと雖も、経年一たびも過らず。
清詞もて 舊女に勧めたまう、香桂 新柯を折れと。
道性 冰雪を欺き,禪心 綺羅を笑う。
跡は霄漢の上に登らんとする,路の煙波にする接する無し。

 

 

 

 

 

 

 

【字解集】 24.  題任處士創資福寺

題任處士創資福寺
1. (世にかくれた彿教信者の任處士というお方が、ここにすはらしい寺の資福寺を創建されたので題します)
長安渭水の傍であろうか、建てられたばかりの新しい資福寺が、視覚的によくとらえられている。
2. ・任處士 処士は、官吏とならず民間にいる人。任が姓。名はわからない。
3.
 ・資福寺 この創始された寺が、長安にあったとは思われない。
4.
 詩の雰囲気からすると長安の東㶚水の益を過ぎたあたりではなかろうか。


幽人創奇境,遊客駐行程。
世俗を離れたお方がこのように凡俗でない場所とお寺を開山された。見物の御客や旅人も旅の皇帝を変えてでもここを見るために留まっている。
5. ・幽人(ゆうじん) 世をのがれている人。隠者。ここは任処士をさす。
6.
 ・奇境 凡俗でない場所。ここは資福寺の境内をいう。
7.
 ・遊客(ゆうかく) ゆさんの旅人。
8.
 ・行程(こうてい) 旅程。旅の足をの意。


粉壁空留字,蓮宮未有名。
まっ白く塗りたての壁に、詩を題している者がある。しかしまだ寺院全体の正式名称もきまっていないといとのことのよう。
9.
 ・粉壁 白い土で染ったかべ。
10.
 ・蓮宮 蓮舎におなじ。寺院。


鑿池泉自出,開徑草重生。
池にしようと掘ってみたら自然に水が頂き出たというし、小路を開いてみたら、すぐ草が生い茂ってくるという。
11. ・径 こみち。


百尺金輪閣,當川豁眼明。

高さが百尺もある金輸のある塔があり、渭水に面して目を見張るようにはっきりとそびえている。

12. ・金輪閣 仏教の格調。尾根の頂上に七輪か五輪の金色の光飾があるもの。

13. ・當川 㶚水、渭水の川面にうつして。

14. ・豁眼 パッと大きく眼を開くこと。陶淵明「桃花源記」に「行くこと数十歩、豁然として開朗」とある。

杜甫『北征』「蓋棺事則已,此誌常覬豁。」(棺【かん】を蓋【おお】えば事は則ち已【や】むも、此の志  常に豁【ひら】けむことを覬【ねが】う)

 

 

 

 

 

 

 

【字解集】 25.  題隱霧亭

題隱霧亭
1.
 (宴席で隱霧亭についての四季の叙情を詠った)

2. 隱霧とは道家の好む語である。
魚玄機の詩は場所の特定季節の特定が難しいものがある。この詩もどこであってもおかしくない。実態感がないのである。お座敷で「お題」があったものと考えてもおかしくない。実際の景色を見て、作ったものとは思えない雰囲気を捨てきれない。『1.賦得江邊柳』「翠色連荒岸,煙姿入遠樓。影鋪秋水面,花落釣人頭。根老藏魚窟,枝低繫客舟。蕭蕭風雨夜,驚夢復添愁。」の雰囲気に類似している。


春花秋月入詩篇,白日清宵是散仙。
春に咲く花、秋の名月、季節の事が詩に読み込まれるものである。夏の日は朝からま昼の太陽もおおぞらもよし、清々しい夕方まで一日の事も結構で、わたしは無官仙人になったようである。
3. ・入詩篇 詩のなかへよみこむ。これはこの詩全体にかかる語である。
4.
 ・白日 太陽の輝いている昼間。この語は真夏の日中。
5.
 ・散仙 道家では、仙人にも官職があることになっており、その官職についていない仙人のことを散仙という。


空卷珠簾不曾下,長移一榻對山眠。
雪の日は山を見るにすだれはまきあげたまま、こんなに景色のよい所だと一度もおろしすことなどないでしょう、長椅子をそのすだれの下に移して、山を見ながら、春夏秋冬寝てしまうことでしょう。
6.
 ・珠簾 簾はすたれ、珠は玉であるが、冬の季語、詩語として冠らせたもの。白居易『香爐峰下、新卜山居、草堂初成、偶題東壁
日高睡足猶慵起、小閣重衾不怕寒。
遺愛寺鐘欹枕聽、香爐峰雪撥簾看。
匡廬便是逃名地、司馬仍爲送老官。
心泰身寧是歸處、故郷何獨在長安。
日高く睡り足るも、なお起くるにものうし、小閣にしとねを重ねて寒さをおそれず。
遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き、香爐峰の雪は簾をかかげてみる。
匡廬(きょうろ)はすなわちこれ名を逃るるの地、司馬はなお老を送るの官たり。
心やすく身やすきは是帰処、故郷何ぞ独り長安にのみ在らんや。

此の句によってこの絶句の中に春夏秋冬」揃うわけである。
7.
 ・長 長時間。こんな景色だと春夏秋冬長い時間景色を見ていることが出来る。
8.
 ・榻 長いこしかけ、ソファーに寝るようにこれに身を横たえて寝ることもある。

 

9. 

この詩は、「春夏秋冬」を歌いこみ、「仙人」を詠い、「隱霧」と語をうまく詠いあげている。季節感、実感のない詩であるということではなかろうか。魚玄機の詩はその使われた獄によって分析するのは意味のない作業のように思われる。おそらく森鴎外は魚玄機は旅行の旅には出ていないと感じていたのではなかろうか。

 

1.賦得江邊柳

翠色連荒岸,煙姿入遠樓。

影鋪秋水面,花落釣人頭。

根老藏魚窟,枝低繫客舟。

蕭蕭風雨夜,驚夢復添愁。

もう春の盛りを過ぎるころとなり、柳の葉の緑も色濃く、荒れてものさびしい岸辺にずっとつづいてそよいでいます。春霞も遠く霞んだ柳の並木の彼方に高楼が目に入いります。

秋水を思わせる清らかに澄んだ水面に、はっきりと柳の木の影がうつっています。柳絮の綿帽子が花びらが落ちるようにふわりふわりと、河の岸で釣りをしている人の頭のうえに飛んでいます。

日も落ちてさびしい雨と風の夜になって柳の木の枝がざわざわと騒がしい音がしています。風雨の音に驚いて夢からさめ、今日も来なかったあの人をおもい、またひとしおさびしいに引き入れられるのです。

(江連の柳を賦し得たり)

翠色 荒岸に連り、煙姿 遠樓に入る。

影は鋪く秋水の面,花は落つ釣人の頭。
根老いて 魚窟を藏し、枝垂れて 客舟を繋ぐ。

蕭蕭たる風雨の夜には、夢を驚かし また愁を添ふ。

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プロフィール

HN:
漢文委員会 紀 頌之(きのあきゆき))
年齢:
78
性別:
男性
誕生日:
1946/09/10
職業:
文学者
趣味:
中国文学
自己紹介:
漢詩から唐・宋詩まで基本となる詩人・詩集を各全詩訳注解説してゆく、その中で、これまで他ブログに、掲載した女性の詩を、手を加えて、整理して掲載してゆく。
これまで日本では紹介されていないもの、誤訳の多かった詩などを、時代の背景、出自、その他関連するものなどから正しい解釈を進めてゆく。
毎日、20000文字掲載しているので、また、大病後で、ブログコミュニケーションが直ちに取ることができないけれど、精一杯努力してお返事いたします。

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