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中国文学 李白・杜甫・韓愈・李商隠と女性詩 研究

詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。

八、2.95 薛濤 《謁巫山廟 》 八、2.95 薛濤 《謁巫山廟 》 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9536

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八、2.95 薛濤 《謁巫山廟 》

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八、2.95 薛濤 《謁巫山廟 》 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9536

(宋玉「高唐賦」にいう巫山の風景と襄王の夢の出来事をのべたもの)

猿の鳴き聲がみだれてきこえるあたり、宋玉の詠った「楚王の高唐の夢にあらわれて、王と一夜の契りをむすんだという紳女を祭ってある巫山廟」をたずねると、路は霞の奥にわけ入り、かぐわしい草や木の香りが、心をすがすがしくひきしめる。

巫山十二峯の山々の色には、詩人宋玉の「高唐賦」のことがしきりに思い出され、足もとに渦をまいて流れくだっている三峡の急流の音は、秦の白起の軍の侵入によって都を奪われた楚の襄王のことを、あわれみ泣いているように聞こえてくる。

 

 

 

 

薛濤詩 

 

95.  謁巫山廟

亂猿啼處訪高唐,路入煙霞草木香。

山色未能忘宋玉,水聲猶是哭襄王。

朝朝夜夜陽台下,為雨為云楚國亡。

惆悵廟前多少柳,春來空斗畫眉長。

 

 

 薛濤 94 《謁巫山廟》

 

 

訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9536     

 

   




謁巫山廟

(宋玉「高唐賦」にいう巫山の風景と襄王の夢の出来事をのべたもの)

亂猿啼處訪高唐,路入煙霞草木香。

猿の鳴き聲がみだれてきこえるあたり、宋玉の詠った「楚王の高唐の夢にあらわれて、王と一夜の契りをむすんだという紳女を祭ってある巫山廟」をたずねると、路は霞の奥にわけ入り、かぐわしい草や木の香りが、心をすがすがしくひきしめる。

山色未能忘宋玉,水聲猶是哭襄王。

巫山十二峯の山々の色には、詩人宋玉の「高唐賦」のことがしきりに思い出され、足もとに渦をまいて流れくだっている三峡の急流の音は、秦の白起の軍の侵入によって都を奪われた楚の襄王のことを、あわれみ泣いているように聞こえてくる。

朝朝夜夜陽台下,為雨為云楚國亡。

朝、その朝、神女はこの巫山の南の高い石山のあたり、美しい色どりの雲となり、夕には雨に化身したというが、楚王はこの美しい神女に心を奪われて、ついに國をほろぼしてしまったのだ。

惆悵廟前多少柳,春來空斗畫眉長。

悲しみ歎きの廟の前には、たくさんな柳の木が、新しい葉をつけている。柳のほっそりとした葉の形は・美人のかき眉の長さをきそっているのであろうか。春が来たというのに、神女の夢のなかの契だけは、いたくあわれに思わずにはおれないのであった。

 

巫山廓に謁す

乱猿【らんえん】啼く處に 高唐を訪へば、路は煙霞に入って 草木香し。

山色 末だ宋玉を忘るること能はず、水聲 猶は是れ襄王を哭す。

朝朝 夜夜 陽臺の下、雨と為り 雲と為って 楚國亡ぶ。

惆悵す 廟前 多少の柳、春来 空しく畫眉の長きを 闘はす。  

謁巫山廟』 現代語訳と訳註

(本文)

謁巫山廟

亂猿啼處訪高唐,路入煙霞草木香。

山色未能忘宋玉,水聲猶是哭襄王。

朝朝夜夜陽台下,為雨為云楚國亡。

惆悵廟前多少柳,春來空斗畫眉長。

 

(下し文)

巫山廓に謁す

乱猿【らんえん】啼く處に 高唐を訪へば、路は煙霞に入って 草木香し。

山色 末だ宋玉を忘るること能はず、水聲 猶は是れ襄王を哭す。

朝朝 夜夜 陽臺の下、雨と為り 雲と為って 楚國亡ぶ。

惆悵す 廟前 多少の柳、春来 空しく畫眉の長きを 闘はす。

 

(現代語訳)

(宋玉「高唐賦」にいう巫山の風景と襄王の夢の出来事をのべたもの)

猿の鳴き聲がみだれてきこえるあたり、宋玉の詠った「楚王の高唐の夢にあらわれて、王と一夜の契りをむすんだという紳女を祭ってある巫山廟」をたずねると、路は霞の奥にわけ入り、かぐわしい草や木の香りが、心をすがすがしくひきしめる。

巫山十二峯の山々の色には、詩人宋玉の「高唐賦」のことがしきりに思い出され、足もとに渦をまいて流れくだっている三峡の急流の音は、秦の白起の軍の侵入によって都を奪われた楚の襄王のことを、あわれみ泣いているように聞こえてくる。

朝、その朝、神女はこの巫山の南の高い石山のあたり、美しい色どりの雲となり、夕には雨に化身したというが、楚王はこの美しい神女に心を奪われて、ついに國をほろぼしてしまったのだ。

悲しみ歎きの廟の前には、たくさんな柳の木が、新しい葉をつけている。柳のほっそりとした葉の形は・美人のかき眉の長さをきそっているのであろうか。春が来たというのに、神女の夢のなかの契だけは、いたくあわれに思わずにはおれないのであった。

 

(訳注)

謁巫山廟

1. (宋玉「高唐賦」にいう巫山の風景と襄王の夢の出来事をのべたもの)

2. ・巫山(ふざん)は中国・重慶市巫山県と湖北省の境にある名山。長江が山中を貫流して、巫峡を形成。山は重畳して天日を隠蔽するという。巫山十二峰と言われ、その中で代表的なものに神女峰がある。

巫山は四川盆地の東半部に多数平行して走る褶曲山脈の中でも最も大きく最も東にある山脈で、四川盆地の北東の境界に北西から南東へ走る褶曲山脈の大巴山脈へと合わさってゆく。長さは40km余り、主峰の烏雲頂は海抜2,400mに達する。

西から流れてきた長江は北西から南東方向へ向けて巫山山脈を貫き、高低差が高く幅の狭い巫峡になっている。また霧や雨が多く、長年の雨で浸食された石灰岩の峰が霧の中で奇怪な形でそそり立つ。

楚の懐王がみた夢を題材にした宋玉の「高唐賦」に登場する。その内容は巫山の神女が懐王と夢の中で出会い、親しく交わるというものである。なかでも、朝には雲に、夕方には雨になって会いたいという神女の言葉が有名となり、巫山雲雨や朝雲暮雨など男女のかなり親密な様子を表す熟語が生まれた。この故事を題材とした詩に劉禹錫の「巫山神女峰」がある。

3. ・巫山廟 宋玉『高唐賦』「昔者楚襄王與宋玉遊於雲夢之台,望高之觀,其上獨有雲氣,崪兮直上,忽兮改容,須臾之間,變化無窮。王問玉曰:“此何氣也?”玉對曰:“所謂朝雲者也。”王曰:“何謂朝雲?”玉曰:“昔者先王嘗遊高唐,怠而晝寢,夢見一婦人曰:‘妾,巫山之女也。爲高唐之客。聞君遊高唐,願薦枕席。’王因幸之。去而辭曰:‘妾在巫山之陽,高丘之阻,旦爲朝雲,暮爲行雨。朝朝暮暮,陽臺之下。’旦朝視之,如言。故爲立廟,號曰朝雲。」

高唐賦」にいう巫山の風景と襄王

4. ・謁 おまいりすること。

 

亂猿啼處訪高唐,路入煙霞草木香。

猿の鳴き聲がみだれてきこえるあたり、宋玉の詠った「楚王の高唐の夢にあらわれて、王と一夜の契りをむすんだという紳女を祭ってある巫山廟」をたずねると、路は霞の奥にわけ入り、かぐわしい草や木の香りが、心をすがすがしくひきしめる。

5. ・亂猿啼處 独特の啼き方をする猿。高適『送李少府貶峡中王少府貶長沙』「嗟君此別意何如、駐馬銜杯問謫居。巫峡啼猿数行涙、衡陽歸雁幾封書。青楓江上秋天遠、白帝城邊古木疎。聖代即今多雨露、暫時分手莫躊躇。」(李少府の峡中に貶せられ、王少府の長沙に貶せらるるを送る)詩に、「巫峡の啼猿数行の涙」の句がある。この附近は猿が多い。李白『早發白帝城』「朝辭白帝彩雲間,千里江陵一日還。兩岸猿聲啼不住,輕舟已過萬重山。」(早に白帝城を発す)の詩にも、猿声の句がある.

6. ・高唐 宋玉の「高唐賦」」にうたわれた楚の雲夢の沢にある台観の名まえであるが、ここではその賦にうたわれている神女を祭った巫山廟をさす。

7. ・煙霞 かすみ。

 

 

山色未能忘宋玉,水聲猶是哭襄王。

巫山十二峯の山々の色には、詩人宋玉の「高唐賦」のことがしきりに思い出され、足もとに渦をまいて流れくだっている三峡の急流の音は、秦の白起の軍の侵入によって都を奪われた楚の襄王のことを、あわれみ泣いているように聞こえてくる。

8. ・宋玉 あざなは子測。周末の楚国の詩人。屈原の弟子といわれ、楚国の大夫となった。その折屈原が放逐されたのをかなしみ、「九弁」を作ったといわれ、また「神女賦」「高唐賦」の作者でもある。

9. ・裏王(じようおう) 宋玉の「高唐拭」で神女と契ったという楚王。宋玉の「夙賦」に、「楚の某王、蘭台の官に遊ぶ。宋華崇差侍す」とある。

 

朝朝夜夜陽台下,為雨為云楚國亡。

朝、その朝、神女はこの巫山の南の高い石山のあたり、美しい色どりの雲となり、夕には雨に化身したというが、楚王はこの美しい神女に心を奪われて、ついに國をほろぼしてしまったのだ。

10. ・朝朝夜夜陽台下 「高唐賦」のなかの句「朝朝暮々陽台の下」をつかい、ただ暮々を夜々に改めたもの。陽台→男女のひそかな戯れ。陽台不帰の雲→一度契りを結んだだけで二度と会うことができないことで、

「巫山の夢」、「巫山の雲雨」、「朝雲暮雨」、「雲となり雨となる」これはみんな一緒の意味。男女が情交すること。

11. ・為雨為云 おなじく「高唐賦」のなかの「且に朝雲と為り、碁に行雨と為る」からきている句。なおこの賦によって、男女の性交のことを「雲雨の交わり」という。雲は男、雨が女。詩に男女をあらわす語は沢山ある。

 

惆悵廟前多少柳,春來空斗畫眉長。

悲しみ歎きの廟の前には、たくさんな柳の木が、新しい葉をつけている。柳のほっそりとした葉の形は・美人のかき眉の長さをきそっているのであろうか。春が来たというのに、神女の夢のなかの契だけは、いたくあわれに思わずにはおれないのであった。

12. ・惆悵 なげくこと。

13. ・多少 多い意。

14. ・畫眉長 唐代には、女の眉は長いことを美人の条件にした。眉をえがくならわしは、すでに漢代からあり、漢の張敞が妻のために眉をえがいてやったことは一つの故事になっている。なお「柳眉」という言葉もあるように、柳の葉の形は、女の眉の形として考えられている.白居易の「長恨歌」に、「芙蓉は面の如く、柳は眉の如し」の句がある。

15. ・この詩は、韋荘の作かもしれないとされている。全唐詩ではこの作品を韋荘、薛濤のどちらも載せている。わたしは、作風から韋荘と考える。

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プロフィール

HN:
漢文委員会 紀 頌之(きのあきゆき))
年齢:
77
性別:
男性
誕生日:
1946/09/10
職業:
文学者
趣味:
中国文学
自己紹介:
漢詩から唐・宋詩まで基本となる詩人・詩集を各全詩訳注解説してゆく、その中で、これまで他ブログに、掲載した女性の詩を、手を加えて、整理して掲載してゆく。
これまで日本では紹介されていないもの、誤訳の多かった詩などを、時代の背景、出自、その他関連するものなどから正しい解釈を進めてゆく。
毎日、20000文字掲載しているので、また、大病後で、ブログコミュニケーションが直ちに取ることができないけれど、精一杯努力してお返事いたします。

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