詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。
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Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#5
(Ⅳ 政略婚) 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#5 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10847
お母さんとして、これまでずっと優しく接してきたのに。今は、どうしてこんなにも冷たくしてくるのだろうか。
子供の我々は、まだ大人になっていないし、そのことをどうして思いやってくれなかったのか。
この別れの情態に接したために、五臓は裂かれ崩れてしまう思いがしたし、頭がはっきりしないで、心奪われ、ぼんやりとして、発狂して馬鹿になったみたいだった。
わたしは號泣しながらも、二人の子の手を愛撫しているし、出発に当たって、なおもまた、逡巡遅疑して立ち尽くす。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
その二 5回目
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
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蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
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悲憤詩三首 其二 漢魏 蔡文姫
#1
悲憤詩三首 其二
その二(蔡文姫が異民族の地での生活している時のことを歌う)
邊荒與華異,人俗少義理。
辺疆の地は中華、中原とは全く異った生活様式となっており、その地の人の風俗は、人の踏み行なうべき道を缺いている。
處所多霜雪,胡風春夏起。
生活しているところは、とてつもなく雪や霜が多く、胡風というもの、本来秋の西風と言うべき風が、その西風が春と夏にも起こるのである。
翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
その風は、漢衣のわたしのころもに吹いて、ひらひらと巻き上げてしまうし、部屋に入ってもしゅうしゅうと私の身に聞こえてはなれない。
#2
感時念父母,哀歎無窮已。
折に節して、父母のことを強く心に思うし、連れ去られた哀しみと歎きに孤独が加わり、哀歎が無限にこみ上げてくるばかりである。
有客從外來,聞之常歡喜。
胡地以外の地から来た拉致されてきたものがいると、その「有客從外來」という噂を耳にすれば、その地の事が聴けるといつも喜んだ。
迎問其消息,輒復非鄕里。
その客を歓迎して、いろいろ中原の様子を問い訊ねた。「迎問其消息」するたびに、同郷の者ではないことがわかった。
#3
邂逅徼時願,骨肉來迎己。
思いがけなくも僥倖を得たいという願いが通じ、めぐり逢いが実現することになった。肉親のものがわたしを迎えに来てくれた。
己得自解免,當復棄兒子。
わたしが、この拉致されての境遇から解放されるということは、それは、同時に子どもをすてることになるという条件であった。
天屬綴人心,念別無會期。
頭によぎるのは、血の繋がった身内のことであり、それは心にまとわりつき、この別れのことを考えれば、もうこの子たちに再び会う期は無い。
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#4
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#4 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10840
もう、かれらとは、生死を永遠に別のものとするものとして、遙かに離れ去ってしまう。これこそ我が子に、離別の挨拶の言葉をいうことも忍びないのである。
子どもは私のところへ、進んできて、わたしの首を抱いてきてはなれず、母に言うには、どこへ行こうとしているのかと、問いかけるばかりである。
ほかの人が、母はもうそのまま去っていって、どうしても、ふたたび還ってくる時はないのですよ。 と。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
その二 4回目
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
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蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
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Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#3
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#3 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10833
#3
思いがけなくも僥倖を得たいという願いが通じ、めぐり逢いが実現することになった。肉親のものがわたしを迎えに来てくれた。
わたしが、この拉致されての境遇から解放されるということは、それは、同時に子どもをすてることになるという条件であった。
頭によぎるのは、血の繋がった身内のことであり、それは心にまとわりつき、この別れのことを考えれば、もうこの子たちに再び会う期は無い。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
その二 3回目
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
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蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
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Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#2
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10826
折に節して、父母のことを強く心に思うし、連れ去られた哀しみと歎きに孤独が加わり、哀歎が無限にこみ上げてくるばかりである。
胡地以外の地から来た拉致されてきたものがいると、その「有客從外來」という噂を耳にすれば、その地の事が聴けるといつも喜んだ。
その客を歓迎して、いろいろ中原の様子を問い訊ねた。「迎問其消息」するたびに、同郷の者ではないことがわかった。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
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蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
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Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#1
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10819
その二(蔡文姫が異民族の地での生活している時のことを歌う)
辺疆の地は中華、中原とは全く異った生活様式となっており、その地の人の風俗は、人の踏み行なうべき道を缺いている。
生活しているところは、とてつもなく雪や霜が多く、胡風というもの、本来秋の西風と言うべき風が、その西風が春と夏にも起こるのである。
その風は、漢衣のわたしのころもに吹いて、ひらひらと巻き上げてしまうし、部屋に入ってもしゅうしゅうと私の身に聞こえてはなれない。
中国史・女性論
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Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主)
Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁
§-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説
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Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#6
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#6 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10812
朝が明ければ、号泣しながら歩んで行いたし。夜になれば、悲しげに呻(うめ)いて、坐り込んだものだ。
死のうと思ってもできはしない。生き続けようと思っても、少しもよいことがあるとは思えない。
遙かなるかの青空よ、わたしに、一体、何の罪科があって、このような、死ぬより辛い、災厄に遭わせるのか。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
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蔡文姫 《悲憤詩三首 其一》訳注解説 |
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悲憤詩三首 其一 #1
(蔡文姫が掠め取られる頃の世情、拉致されて連行される時のことなどを歌う)
漢季失權柄,董卓亂天常。
幼帝を傀儡とする宦官の政治介入が長く続くと、後漢の末期には、中央政府の政治は機能不全に陥り、実権は衰えた。宦官殺害がすすみ、機会を得た董卓は、武力を背景に、世の中のきまりを乱して相国になって朝廷を掌握した。
志欲圖簒弑,先害諸賢良。
董卓は主君を殺して帝王の位を奪い取ることを計画し、それに先立って、伍瓊や周等をはじめとし、多くの優秀な人材を排除、殺害したのである。
逼迫遷舊邦,擁主以自彊。』
都であった洛陽が北からの外敵、各地の諸公からの打倒董卓の勢いに、防御能力の高い前漢の首都である長安への移転を画策、少帝を廃して、新たな主君である献帝を擁立して、一時政権を掌握し、洛陽を燃やし尽くし、強引に長安に遷都した。
#2
海内興義師,欲共討不祥。
中國国内全土で義軍をおこすことになったし、連合、同盟を酌み、ともになって、好ましくないものを討とうとした。
卓衆來東下,金甲耀日光。
董卓の軍勢が函谷関の東側に攻め込んできた。 この時には、董卓軍の金のよろいに、日の光に輝き、希望に満ちていた。
平土人脆弱,來兵皆胡羌。
この時の中原の漢人はもろくて弱かった。董卓の軍勢に従軍してきた者は、皆、西方の異民族であった。
獵野圍城邑,所向悉破亡。
まるで狩猟でもするかのように、街や村を囲んで。 軍勢の向かう所の者は、ことごとく打ち破り、滅亡させていった。
斬截無孑遺,尸骸相牚拒。』
敵対するものは、一つ遺さずに斬り捨てられた。屍骸は積み上げられ、お互いに支え合うかのようである。
#3
馬邊縣男頭,馬後載婦女。
馬首のあたりには、斬り取った漢人の男の首をぶら下げている。馬の背の後ろ側には、奪い取った漢人の女性を積み載せている。
長驅西入關,迥路險且阻。
西の異民族の国から遠い道のりを馬で走って、西の方の函谷関に入ってきらが、遠い道筋は、けわしくて、行く手をはばむかのようであった。
還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。
その道の方を振り返れば、遙かに遠くかすんでいるし、来た道が見えないので、心は、そのためにただれて腐りそうだ。
#4
所略有萬計,不得令屯聚。
捕縛、掠奪した人数は、優に萬に上る、拉致された人々が、群がり集まることをさせなかった。
或有骨肉倶,欲言不敢語。
それだから、肉親が一緒にいて、家族の心配をして話し合おうと思っても、話すことはできない。
失意機微閒,輒言斃降虜。
すこしでも胡兵のご機嫌を損ねるたりすると、徹底的に追及され、発見されてそのたびに、言われる言葉は「捕虜めをいくら殺してもよいことになっている…」と。罵詈雑言をはかれたのである。
#5
要當以亭刃,我曹不活汝。
暫しの間だけ刃物は用いないけれど、それも暫しの間の事で、今、殺さないだけなのである。 我々が、おまえらを生かしておく意味がないのである。
豈復惜性命,不堪其詈罵。
これほど罵倒が続くと、生命はもう惜しいとは思わなくなったが、それでも、さらに、その罵ののしりや、むちうちには堪えられなくなっていった。
或便加棰杖,毒痛參并下。
或いは、むちうたれて、詈罵の毒言の辛さと棒杖の痛みとが一緒になって、身にかかってくるのである。
#6
旦則號泣行,夜則悲吟坐。
朝が明ければ、号泣しながら歩んで行いたし。夜になれば、悲しげに呻(うめ)いて、坐り込んだものだ。
欲死不能得,欲生無一可。
死のうと思ってもできはしない。生き続けようと思っても、少しもよいことがあるとは思えない。
彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
遙かなるかの青空よ、わたしに、一体、何の罪科があって、このような、死ぬより辛い、災厄に遭わせるのか。
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#5
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#5 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10805
暫しの間だけ刃物は用いないけれど、それも暫しの間の事で、今、殺さないだけなのである。 我々が、おまえらを生かしておく意味がないのである。
これほど罵倒が続くと、生命はもう惜しいとは思わなくなったが、それでも、さらに、その罵ののしりや、むちうちには堪えられなくなっていった。
或いは、むちうたれて、詈罵の毒言の辛さと棒杖の痛みとが一緒になって、身にかかってくるのである。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
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蔡文姫 《悲憤詩三首 其一》訳注解説 |
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悲憤詩三首 其一 #1
(蔡文姫が掠め取られる頃の世情、拉致されて連行される時のことなどを歌う)
漢季失權柄,董卓亂天常。
幼帝を傀儡とする宦官の政治介入が長く続くと、後漢の末期には、中央政府の政治は機能不全に陥り、実権は衰えた。宦官殺害がすすみ、機会を得た董卓は、武力を背景に、世の中のきまりを乱して相国になって朝廷を掌握した。
志欲圖簒弑,先害諸賢良。
董卓は主君を殺して帝王の位を奪い取ることを計画し、それに先立って、伍瓊や周等をはじめとし、多くの優秀な人材を排除、殺害したのである。
逼迫遷舊邦,擁主以自彊。』
都であった洛陽が北からの外敵、各地の諸公からの打倒董卓の勢いに、防御能力の高い前漢の首都である長安への移転を画策、少帝を廃して、新たな主君である献帝を擁立して、一時政権を掌握し、洛陽を燃やし尽くし、強引に長安に遷都した。
#2
海内興義師,欲共討不祥。
中國国内全土で義軍をおこすことになったし、連合、同盟を酌み、ともになって、好ましくないものを討とうとした。
卓衆來東下,金甲耀日光。
董卓の軍勢が函谷関の東側に攻め込んできた。 この時には、董卓軍の金のよろいに、日の光に輝き、希望に満ちていた。
平土人脆弱,來兵皆胡羌。
この時の中原の漢人はもろくて弱かった。董卓の軍勢に従軍してきた者は、皆、西方の異民族であった。
獵野圍城邑,所向悉破亡。
まるで狩猟でもするかのように、街や村を囲んで。 軍勢の向かう所の者は、ことごとく打ち破り、滅亡させていった。
斬截無孑遺,尸骸相牚拒。』
敵対するものは、一つ遺さずに斬り捨てられた。屍骸は積み上げられ、お互いに支え合うかのようである。
#3
馬邊縣男頭,馬後載婦女。
馬首のあたりには、斬り取った漢人の男の首をぶら下げている。馬の背の後ろ側には、奪い取った漢人の女性を積み載せている。
長驅西入關,迥路險且阻。
西の異民族の国から遠い道のりを馬で走って、西の方の函谷関に入ってきらが、遠い道筋は、けわしくて、行く手をはばむかのようであった。
還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。
その道の方を振り返れば、遙かに遠くかすんでいるし、来た道が見えないので、心は、そのためにただれて腐りそうだ。
#4
所略有萬計,不得令屯聚。
捕縛、掠奪した人数は、優に萬に上る、拉致された人々が、群がり集まることをさせなかった。
或有骨肉倶,欲言不敢語。
それだから、肉親が一緒にいて、家族の心配をして話し合おうと思っても、話すことはできない。
失意機微閒,輒言斃降虜。
すこしでも胡兵のご機嫌を損ねるたりすると、徹底的に追及され、発見されてそのたびに、言われる言葉は「捕虜めをいくら殺してもよいことになっている…」と。罵詈雑言をはかれたのである。
#5
要當以亭刃,我曹不活汝。
暫しの間だけ刃物は用いないけれど、それも暫しの間の事で、今、殺さないだけなのである。 我々が、おまえらを生かしておく意味がないのである。
豈復惜性命,不堪其詈罵。
これほど罵倒が続くと、生命はもう惜しいとは思わなくなったが、それでも、さらに、その罵ののしりや、むちうちには堪えられなくなっていった。
或便加棰杖,毒痛參并下。
或いは、むちうたれて、詈罵の毒言の辛さと棒杖の痛みとが一緒になって、身にかかってくるのである。
#6
旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。
彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#4
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#4 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10798
捕縛、掠奪した人数は、優に萬に上る、拉致された人々が、群がり集まることをさせなかった。
それだから、肉親が一緒にいて、家族の心配をして話し合おうと思っても、話すことはできない。
すこしでも胡兵のご機嫌を損ねるたりすると、徹底的に追及され、発見されてそのたびに、言われる言葉は「捕虜めをいくら殺してもよいことになっている…」と。罵詈雑言をはかれたのである。
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
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蔡文姫 《悲憤詩三首 其一》訳注解説 |
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Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#3
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#3 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10791
馬首のあたりには、斬り取った漢人の男の首をぶら下げている。馬の背の後ろ側には、奪い取った漢人の女性を積み載せている。
西の異民族の国から遠い道のりを馬で走って、西の方の函谷関に入ってきらが、遠い道筋は、けわしくて、行く手をはばむかのようであった。
その道の方を振り返れば、遙かに遠くかすんでいるし、来た道が見えないので、心は、そのためにただれて腐りそうだ。
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#2
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一#2 訳注解説#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10784
中國国内全土で義軍をおこすことになったし、連合、同盟を酌み、ともになって、好ましくないものを討とうとした。
董卓の軍勢が函谷関の東側に攻め込んできた。 この時には、董卓軍の金のよろいに、日の光に輝き、希望に満ちていた。
この時の中原の漢人はもろくて弱かった。董卓の軍勢に従軍してきた者は、皆、西方の異民族であった。
まるで狩猟でもするかのように、街や村を囲んで。 軍勢の向かう所の者は、ことごとく打ち破り、滅亡させていった。
敵対するものは、一つ遺さずに斬り捨てられた。屍骸は積み上げられ、お互いに支え合うかのようである。
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漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
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悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!