詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。
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八、2.46 薛濤 《十離詩十首 燕離巢 》
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2017年10月2日 |
の紀頌之"6"つの校注Blog |
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10年のBLOGの集大成 |
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●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」。、現在、①李白集校注詩全詩、②昌黎先生集全40巻他全詩、③杜詩詳注、④花間集、⑤玉臺新詠、⑥薛濤詩 全訳注解説 |
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八、2.46 薛濤 《十離詩十首 燕離巢 》 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9165
(巣から追い出された燕。)
身分の高いお方の顕官のお邸に、朱門から出入りするようになったが、その家の主人は女を打ち棄てるのもかわいそうだと考えられ、かえってチュッチュッと鳴いているのを、いつもかわいがっている。
巣をつくるために口にくわえて運んでいた泥を落として、さんごの飾りのついた枕をよごしてしまう。追い出され、もはや梁の上に巣をつくることはできないことになってしまった。
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薛濤詩 |
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40十離詩十-幷序
元徴之使蜀。巌司空遣涛往事。因事獲怒。遠之。涛作十離詩以献。逐復善焉。
41.犬離主
出入朱門四五年,為知人意得人憐。 近緣咬著親知客,不得紅絲毯上眠。
42. 犬離主
元徴之使蜀。巌司空遣涛往事。因事獲怒。遠之。涛作十離詩以献。逐復善焉。
43. 筆離手
越管宣毫始稱情,紅箋紙上撒花瓊。 都緣用久鋒頭盡,不得羲之手里擎。
44. 馬離廄
雪耳紅毛淺碧蹄,追風曾到日東西。 為驚玉貌郎君墜,不得華軒更一嘶。
45. 鸚鵡離籠
隴西獨自一孤身,飛去飛來上錦茵。都緣出語無方便,不得籠中再喚人。
46. 燕離巢
出入朱門未忍拋,主人常愛語交交。銜泥穢污珊瑚枕,不得梁間更壘巢。
47. 珠離掌
皎潔圓明內外通,清光似照水晶宮。只緣一點玷相穢,不得終宵在掌中。
48. 鷹離鞲
爪利如鋒眼似鈴,平原捉兔稱高情。無端竄向青云外,不得君王臂上擎。
49. 鷹離鞲
爪利如鋒眼似鈴,平原捉兔稱高情。無端竄向青云外,不得君王臂上擎。
50. 竹離亭
蓊郁新栽四五行,常將勁節負秋霜。 為緣春筍鑽牆破,不得垂陰覆玉堂。
51. 鏡離台
鑄瀉黃金鏡始開,初生三五月徘徊。 為遭無限塵蒙蔽,不得華堂上玉台。
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薛濤詩 44 《十離詩十首 燕離巢 原註》 |
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十離詩
元徴之使蜀。巌司空遣涛往事。
元稹が官吏を取り締まる官、監察御史として蜀に遣わされた。厳綬(厳司空)は旅の慰労に薛濤を同行させた。
困事獲怒。遠之。
事件を起こして逆鱗に触れ、罰として遠ざけられた。
涛作十離詩以献。逐復善焉。
薛濤は、「十離詩」と題した詩を詩集にして元稹に献上した。やがてまた許され良いことになった。
犬離主
(飼い主の主人から追いだされた犬の歌。)
出入朱門四五年,為知人意得人憐。
高貴なお邸に出入りさせていただいて早、四、五年にもなっています。あなた様のご厚情にあまえつづけており、本当にご主人にかわいがられていたのです。
近緣咬著親知客,不得紅絲毯上眠。
ところが、ふとしたことから、ご主人の近縁のお方にかみつくようなまねをしてしまい、このうえは、紅い上等の毛せんの上で眠るわけにはいきませんと孟反省致しております。
42. 犬離主
元徴之使蜀。巌司空遣涛往事。
元稹が官吏を取り締まる官、監察御史として蜀に遣わされた。厳綬(厳司空)は旅の慰労に薛濤を同行させた。
困事獲怒。遠之。
事件を起こして逆鱗に触れ、罰として遠ざけられた。
涛作十離詩以献。逐復善焉。
薛濤は、「十離詩」と題した詩を詩集にして元稹に献上した。やがてまた許され良いことになった。
43. 筆離手
(筆がすてられた。)
越管宣毫始稱情,紅箋紙上撒花瓊。
越州産の軸に、宣州産の穂がついた筆がある。はじめから気に入って、紅い画宣紙や詩箋の上に、花瓊を撒いた様なみごとな書画を書くことができたものだった。
都緣用久鋒頭盡,不得羲之手里擎。
何もかもに愛用し、しかも久しく使ったことによって、穂さきまとまらなくなって、いかに有名な名筆家の晋の王義之の腕にかかっても、良い書画がえられなくなってしまったのだ。
(筆は手を離る。)
越管【えつかん】宣毫【せんごう】始めより情に稱【かな】う,紅箋【こうせん】紙上 花瓊【かけい】を撒【ま】く。
都【すべ】て用うること久しきことに緣り鋒頭【ほうとう】盡き,羲之の手里に擎【ささ】げらるるを得ず。
44. 馬離廄
(馬がうまやから追われた。)
雪耳紅毛淺碧蹄,追風曾到日東西。
雪のようにまっ白い耳のあたりの毛があり、ほかの部分は赤い栗毛いろの馬で、ひずめは薄みどり色だからきっといい馬だ。かっては、風を追うようにして、日が昇ってから、西に沈むまで、一日中東へ西へと駆けまわっていた。
為驚玉貌郎君墜,不得華軒更一嘶。
美しくかわいい若さまをお驚かせして、車から落としてしまったために、それ以来、りっはな事につけられて威勢よくいななくこともできなくなって、うまやから追い出されて追いやられてしまった。
(馬、厩を離る)
雪耳 紅毛 浅碧の蹄、風を追うて 曾て 日の東西に到る。
王貌の郎君を 驚かし堕せしが為に、華軒に 更に一たび斯くことを 得ず。
有名な「十離詩」(40)が、元稹のところの家宴に列して、酒に酔い、酒令のことから盃?を投げて、元稹の甥の脚を傷つけ、元稹の気嫌を損じておわれたことに原因して作られたという。の詩中に、「四、五年」および 「四五秋」の語がある。「全唐詩」 の註には、これを彼女が厳司空(厳綬)によって元稹のもとへ派遣されたときのこととである。
鸚鵡離籠
(籠を離れた鸚鵡。)
隴西獨自一孤身,飛去飛來上錦茵。
シルクロードを経て隴西から連れられて來られた 一羽の鸚鵡がいます。ある日籠から飛び出して、あちらこちらを飛びまわり、そして美しい敷物の上にとまったというのです。
都緣出語無方便,不得籠中再喚人。
言葉を話しても適宜なことばを使うことが出来ない。さてどう人を呼んだらよいか、寵の中に戻ることができない。
(鸚鵡、寵を離る)
隴西 獨自 一孤身、飛び去り飛び來って錦茵に上る。
都て 出語 方便なきに 緣って、籠中に 再び人を喚ぶを 得ず。
46 燕離巢 75
燕離巢
(巣から追い出された燕。)
出入朱門未忍拋,主人常愛語交交。
身分の高いお方の顕官のお邸に、朱門から出入りするようになったが、その家の主人は女を打ち棄てるのもかわいそうだと考えられ、かえってチュッチュッと鳴いているのを、いつもかわいがっている。
銜泥穢污珊瑚枕,不得梁間更壘巢。
巣をつくるために口にくわえて運んでいた泥を落として、さんごの飾りのついた枕をよごしてしまう。追い出され、もはや梁の上に巣をつくることはできないことになってしまった。
(燕、巣を離る)
朱門に出入して 未だ拋【なげう】つに忍びず、主人 常に愛す 語 交交なるを。
泥を銜んで 珊瑚の枕を 穢汚す、梁間 更に巣を壘するを 得ず。
燕離巢
『燕離巢』 現代語訳と訳註
(本文) 燕離巢
出入朱門未忍拋,主人常愛語交交。
銜泥穢污珊瑚枕,不得梁間更壘巢。
(下し文)
(燕、巣を離る)
朱門に出入して 未だ拋【なげう】つに忍びず、主人 常に愛す 語 交交なるを。
泥を銜んで 珊瑚の枕を 穢汚す、梁間 更に巣を壘するを 得ず。
(現代語訳)
(巣から追い出された燕。)
身分の高いお方の顕官のお邸に、朱門から出入りするようになったが、その家の主人は女を打ち棄てるのもかわいそうだと考えられ、かえってチュッチュッと鳴いているのを、いつもかわいがっている。
巣をつくるために口にくわえて運んでいた泥を落として、さんごの飾りのついた枕をよごしてしまう。追い出され、もはや梁の上に巣をつくることはできないことになってしまった。
(訳注)
燕離巢
35. (巣から追い出された燕。)
36. 身分の高いお方の顕官のお邸に、朱門から出入りするようになったが、その家の主人は女を打ち棄てるのもかわいそうだと考えられ、かえってチュッチュッと鳴いているのを、いつもかわいがっている。
出入朱門未忍拋,主人常愛語交交。
身分の高いお方の顕官のお邸に、朱門から出入りするようになったが、その家の主人は女を打ち棄てるのもかわいそうだと考えられ、かえってチュッチュッと鳴いているのを、いつもかわいがっている。
37. ・朱門 身分の高い顕官の邸。① 朱塗りの門。 ②《門を朱塗りにしたところから》富貴の人の家。家屋は南を正門とし、高貴の人はその邸の門を朱色に塗った。郭璞の「遊仙詩」に、「朱門何ぞ栄とするに足らん」 の句がある。
38. ・交交 鳥の飛び交うさま。『詩経 秦風「黄鳥」』「交交黃鳥 止于棘」(交交たる黃鳥 棘に止まる)という句がある。ここではチュッチュッと鳴きかわすありさま。
銜泥穢污珊瑚枕,不得梁間更壘巢。
巣をつくるために口にくわえて運んでいた泥を落として、さんごの飾りのついた枕をよごしてしまう。追い出され、もはや梁の上に巣をつくることはできないことになってしまった。
39. ・枕 簟はござ。竹または葦で編んだ敷物。珊棚と上にあるから枕がよい。
40. ・穢污 よごす。
41. ・染 はり。家庭の棟をささえる大きな横木。妓女、女性の閨と梁はセットのものである。
42. ・壘 積重ねてとりでをつくる。防塁。