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中国文学 李白・杜甫・韓愈・李商隠と女性詩 研究

詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。

九、集-07A【字解集】 31.遣懷 32.寄飛卿 33.過鄂州 34.夏日山居 35.暮春即事 魚玄機 漢文委員会kanbuniinkai 紀 頌之 ブログ9986

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2018129

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ⅰ【字解集】1酬崔侍御 2.同友人舟行 3.自金陵泝流 4.君道曲 

剝啄行#4

茅屋檢校收稻二首其一

訴衷情二首其一

【字解集】・雜詩二首 〔王 微〕

A【字解集】 31.遣懷 32.寄飛卿 33.過鄂州 

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魚玄機 全詩 訳注解説

 遣懷    全唐詩卷804_31

 

遣懷    全唐詩卷804_31
閑散身無事,風光獨自遊。斷雲江上月,解纜海中舟。

琴弄蕭梁寺,詩吟庾亮樓。叢篁堪作伴,片石好為儔。

#2
燕雀徒為貴,金銀誌不求。滿杯春酒綠,對月夜窗幽。

繞砌澄清沼,抽簪映細流。臥牀書冊遍,半醉起梳頭。

 

寄飛卿    全唐詩卷804_32

階砌亂蛩鳴,庭柯煙露清。
月中鄰樂響,樓上遠山明。
珍簟涼風著,瑤琴寄恨生。
嵇君懶書劄,底物慰秋情。

 

過鄂州    全唐詩卷804_33

柳拂蘭橈花滿枝,石城城下暮帆遲。

折牌峰上三閭墓,遠火山頭五馬旗。

白雪調高題舊寺,陽春歌在換新詞。

莫愁魂逐清江去,空使行人萬首詩。

 

夏日山居   全唐詩 卷804_34

移得仙居此地來,花叢自遍不曾栽。
庭前亞樹張衣桁,坐上新泉泛酒杯。
軒檻暗傳深竹徑,綺羅長擁亂書堆。
閑乘畫舫吟明月,信任輕風吹卻回。

 

 

 

魚玄機 《訳注解説》

 

 

31.遣懷 32.寄飛卿 33.過鄂州 34.夏日山居 35.暮春即事

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9986

 

 

 


【字解集】 31.遣懷

遣懷
1. (ゆったりと風流に暮らしている時の胸の思いを詠う)

2. ・遣懷 胸中のおもいを吐きだすことと云うことだが、この詩は二句、一聯ごとにテーマがあり、八つのテーマがある。女性が律詩を詠う事が珍しい時代に、男性に負けてなるかと上句でテーマの全体について述べ、下句で、対句を表現しながらその具体的なことを述べている。

一聯:現在の生活(暇を玩び漫然とする⇒その中で悠々自適で風流に生きる。)

二聯:遠望(雲間から月が長江を照らす⇒係留している船が月に照らされ、帆を上げて出発する。)

三聯:風流【音楽・詩】(琴を奏でるには梁武帝が多く立てた寺が良いが、風流にかける、風流に詩詞を吟じるには庾亮樓が一番である)
四聯:風流【散歩・座して眺める】(今は竹林を一人で散歩してゆったりした思いであるくが、もっとゆったりとした気持ちで過ごせるのは、石庭の片石を眺めている時である。)


(一)
閑散身無事,風光獨自遊。
暇でのんびりしている。別に何かをしなければならないというわけでもない。よい景色のなかで、ひとりで悠々自適に過ごす。
3. ・閑散 ひまで何するということもなくのんびりしていること。
4. ・風光 風景。自然をともとして。


(二)
斷雲江上月,解纜海中舟。
雲の切れ間に明るい月が顔を出す、大江にかげをおとす。繋がれていた舟が、ともづなを解いて、海にむかって進む。
5. ・江上 大江。


(三)
琴弄蕭梁寺,詩吟庾亮樓。
優雅に琴をきままにかなでるならば、南朝梁の時代に建てられた多くの寺がいちばんよいが、詩歌を吟ずるには、南朝中原の名門貴族の家に生まれ、若い頃から美貌と威厳のある風格をそなえ、清談の名手としても名を知られていた庾亮の樓である。ここは、白居易、鄭谷など多くの詩人が詠ったところである。
6. ・琴弄 琴を情熱的につま弾いて、梁の上の埃をなくす。

7. ・蕭梁の寺 南朝梁は、蕭氏の朝廷であったことで、五代の後は、朱梁と区別するためこういう。この蕭梁の時に多くの寺が建てられたことをいう。
武帝は異常なほど仏教に傾倒し、後世からはこのために梁の亡国を招いたとして非難される一因となっている。まず武帝は在位中に4回も捨身を行なう異常ぶりで、さらに中国皇帝は国家儀礼は儒教に基づいて行なうのが当然なのだが武帝は仏教に基づいて行なっており、さらに大赦と改元を伴って行なうなど常識を逸脱する熱烈ぶりが目立つようになっている。ただし仏教が武帝や梁の民衆にここまで受け入れられたのは、後漢という長期政権の崩壊後、魏晋南北朝時代という動乱期で儒教の価値観が低下し自己の救済を仏教に求めたため、という側面もあった事を理解しておく必要がある。とはいえこのような異常ともいえる仏教傾倒は梁における仏教隆盛をもたらした反面で、皇帝や皇族の放恣や側近による専権、貴族層の実務忌避や寺院の建立による財政悪化による民衆の窮乏と社会不安の増大という国勢の衰退を助長した。
8. 庾亮(ゆりょう、289年 - 340年)は、中国東晋の政治家。字は元規。潁川鄢陵(現河南省)の出身。庾琛の子で庾彬、庾羲の父。
西晋時代、中原の名門貴族の家に生まれ、若い頃から美貌と威厳のある風格をそなえ、清談の名手としても名を知られていた。当時の人々は彼を夏侯玄や陳羣になぞらえたという。八王の乱、永嘉の乱で中原が戦乱に見舞われると、父親に従い会稽に難を避ける。ある秋の夜、南樓にのぼり配下の殷浩らとともに、月を愛でて詩を作った。九江に駐屯した時、この地に楼を立てていることから、庾亮樓といえば九江に建つ樓をいう。この語により、魚玄機が卾州から長江を下ったとされるが、詩人の地名の使い方は、想像もあるので、視点を変えた確認が必要であろう。


(四)
叢篁堪作伴,片石好為儔。
しずかな竹林であれば一人でのびのびし散歩するものであり、庭の石をじっとめでるのは、こだわりやわずらわしさもないのがよいことだ。
9. ・叢篁 むらがり生えている竹。しずかな竹林。

10.・遣懷 胸中のおもいを吐きだすことと云うことだが、この詩は二句、一聯ごとにテーマがあり、八つのテーマがある。

一聯:現在の生活    :閑散身無事,風光獨自遊。

二聯:遠望       :斷雲江上月,解纜海中舟。

三聯:風流(音楽・詩) 琴弄蕭梁寺,詩吟庾亮樓。

四聯:風流(散歩)   :叢篁堪作伴,片石好為儔。

五聯:男・大志     :燕雀徒為貴,金銀誌不求。

六聯:酒と月      滿杯春酒綠,對月夜窗幽。

七聯:風流(近景)   :繞砌澄清沼,抽簪映細流。

八聯:現在の生活    :臥床書冊遍,半醉起梳頭。

ということでこの詩は、やはり書斎で作られ、訪れる客に披露するために作られた現実性のない作品である。客観的にとらえていくとこれが事実である。李億との感情などどこにもないのである。

 

燕雀徒為貴,金銀誌不求。
つまらない男というものは、高い地位についたら、いたずらに権威を振りかざすもの、金銀だけを志とするものではない。
11. ・燕雀 したがってつまらぬ人間、小者。曹植 魏詩『鰕鱓篇』「燕雀戲藩柴、安識鴻鵠游。」(燕や雀は桓根の内にたわむれているのだから、鴻や鵠のような大きな鳥のような遊びは知らない。)
李白『古風五十九首 之三十七』「梧桐巢燕雀。 枳棘棲鴛鸞。」
韓愈『贈崔立之評事』(崔斯立,字立之,博陵人)「走章馳檄在得賢,燕雀紛拏要鷹隼」
 

滿杯春酒綠,對月夜窗幽。
杯には、うまい上等の酒を満たし、月があかるく照っている夜などは、窓辺でしずかな夜のけはいを欒しむものだ。
12. ・春酒綠 春酒は新種のこと、綠は、清酒の事で、上等の酒の場合につかう酒の形容。
13. ・夜窗 窗は窓。夜は窓辺に。


繞砌澄清沼,抽簪映細流。
玄関敲きのまわりには、澄んだ水をたたえた沼池に清い小川が流れこむ。髪にさしたかんざしを細い流れにうつしてみる。
14. ・繞砌 ・砌 庭へおりるポーチ。みぎり【砌】とは。意味や解説。《「水限(みぎり)」の意で、雨滴の落ちるきわ、また、そこを 限るところからという》1 時節。おり。ころ。
魚玄機『期友人阻雨不至』「近泉鳴砌畔,遠浪漲江湄。」
15. ・清沼 きれいな水をたたえた沼池。
16. ・簪 かんざし。おそらく金製であろう。


臥床書冊遍,半醉起梳頭。
そんな中で、わたしは寝床のまわりには、一面に本がうず高くつんでいる。すこし酔っては、起きだして、髪を梳き、頭を整える。
17. ・臥床 寝床ベッド。
18. ・遍 一面に。
19. ・梳頭 髪にくしを入れること。

 

 

【字解集】 32.寄飛卿

寄飛卿
1. (魚玄機の詩人としての才能を引き出してくれ、余の名声にも力を与えてくれた温庭筠に、秋のさみしさを紛らわす手紙を送った、温庭筠は都を離れ、各地に遊んでいた。)

2. ・飛卿 温飛脚、名は庭筋。もとの名は岐。岐は「旧唐書」に見える。森鴎外はその「魚玄機」にこの岐をとっている。魚玄機の詩才を見出した人。この詩は、都にいる魚玄機から地方に都落ちしている温庭筠に。寄せたもので、魚玄機が旅先から都落ちしている温庭筠に寄せるのは不自然で詩の内容からも、「大系15」のようにこじつけることには無理がある。この詩は長安で作られたものとしか考えられない。森鴎外も長安の作としているのが正しい。(それにしても集英社発行辛島驍著「漢詩大系15」の訳註はひどすぎる。)


階砌亂蛩鳴,庭柯煙露清。
庭へおりるきざはしからのたたきの先あたりで、こおろぎがやたらに鳴いているし、庭木の枝のあたりには、夜霧がこめて、すがすがしい気配に包まれる。
3. ・階砌 階はきざはし。室内から庭へおりるところにある段。砌は石または煉瓦のきざはしの段をいうが、今のポーチ(タタキ)と思えばよい。
・亂蛩 亂蛩はこおろぎ。白居易『禁中聞蛩』詩「悄悄禁門閉,夜深無月明。西窗獨暗坐,滿耳新蛩聲。」(西窗独り闇坐すれば、満耳新蛩の声)がある。乱蟄は、やかましくしきりにあちこちで鳴くこおろぎ。
4. ・庭柯 庭の木のえだ。
5. ・煙露 煙は、水蒸気のもや。ここでは夕もや。


月中鄰樂響,樓上遠山明。
そんな月の光があたる夜には、隣家の宴の音楽の音が聞こえてくるものだし、高楼からは、遠くの山が月光にくっきりと見えもの。


珍簟涼風著,瑤琴寄恨生。
すっかり秋になり、立派な簟の寝ござだと涼しすぎるし、美しい玉のような琴だとをひいていますと、逆に良すぎて引きずらいことになってしまうもの。
6. ・珍簟 竹または葦で編んだ敷き物。夏期ベッドの上に敷いて涼をとる場合と、ベッドなり長椅子が竹で張ってある場合とあるが、ここは前者。シーツに似た寝具で、竹を編んで作る。夏はその上に寝ると、涼しい。珍は立派なという意味。『酬李學士寄簟』「珍簟新鋪翡翠樓,泓澄玉水記方流。唯應雲扇情相似,同向銀牀恨早秋。」
7. ・涼風(りょうふう)
8. ・瑤琴(ようきん) 瑤は美しい玉。
9. ・寄恨 琴が思い切って引けなもどかしさ。花街のものが男性に云う言葉。さびしい夜、お待ちしてますというほどの意味。


嵇君懶書劄,底物慰秋情。
詩文と琴の演奏に秀でた嵇康は、詩を読んでも記録しようとはしなかったのですが。わたしはこうした下手な詩でも作って秋の夜のさびしさも、どんなにか慰めるのです。(お越しいただけないなら、せめて詩文でもいただけませんか。)
10. ・嵇君 温庭筠を晋の嵇康にたとえてよんだもの。嵆 康(けい こう、224年 - 262年あるいは263年)は、中国三国時代の魏の文人。竹林の七賢の一人で、その主導的な人物の一人。字は叔夜。非凡な才能と風采を持ち、日頃から妄りに人と交際しようとせず、山中を渉猟して仙薬を求めたり、鍛鉄をしたりするなどの行動を通して、老荘思想に没頭した。気心の知れた少数の人々と、清談と呼ばれる哲学論議を交わし名利を求めず、友人の山濤が自分の後任に、嵆康を吏部郎に推薦した時には、「与山巨源絶交書」(『文選』所収)を書いて彼との絶交を申し渡し、それまで通りの生活を送った。嵆康は「琴(きん)」を演奏する事を好み、ある時に謎の人物から「広陵散」と呼ばれる琴の曲を学び得意としていたが、誰にもそれを教えなかった。刑の直前にこの曲を演奏し「広陵散今に於いて絶ゆ」と言い残し処刑されたという[5]。「声無哀楽論」・「琴賦」を著すなど、音楽理論に精通していた。
11. ・書劄 詩文を随時書き記したもの。
12. ・秋情 秋のさびしい思い

 

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プロフィール

HN:
漢文委員会 紀 頌之(きのあきゆき))
年齢:
72
性別:
男性
誕生日:
1946/09/10
職業:
文学者
趣味:
中国文学
自己紹介:
漢詩から唐・宋詩まで基本となる詩人・詩集を各全詩訳注解説してゆく、その中で、これまで他ブログに、掲載した女性の詩を、手を加えて、整理して掲載してゆく。
これまで日本では紹介されていないもの、誤訳の多かった詩などを、時代の背景、出自、その他関連するものなどから正しい解釈を進めてゆく。
毎日、20000文字掲載しているので、また、大病後で、ブログコミュニケーションが直ちに取ることができないけれど、精一杯努力してお返事いたします。

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