詩の訳注解説をできるだけ物語のように解釈してゆく。中国詩を日本の詩に換えて解釈とする方法では誤訳されることになる。 そして、最終的には、時代背景、社会性、詩人のプロファイルなどを総合的に、それを日本人的な語訳解釈してゆく。 全体把握は同系のHPhttp://chubunkenkyu.byoubu.com/index.htmlを参照してもらいたい。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
基本詩サイト http://kanbuniinkai.webcrow.jp/
漢詩・唐詩 総合サイトhttp://kanbuniinkai7.dousetsu.com
リニューアル 準備中2019/05/05予定
http://kanbuniinka15.yu-nagi.com
杜甫のサイト
基本詩サイト http://kanbuniinkai12.dousetsu.com
漢詩・書道 おもしろサイト http://kakuundo1008.html.xdomain.jp/
基本総合(漢詩・唐詩・宋詩の特集)サイト http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/
ブログランキング&初唐・盛唐の詩 http://kanbuniinkai06.sitemix.jp/index.html
李白のサイト&総合サイト http://chubunkenkyu.byoubu.com
古代女性論 http://kanshijoseiron01.ken-shin.net/
古代都市計画 http://kodaitoshikei02.ken-shin.net/
韓愈のサイト http://kanshorei04.ken-shin.net/
李商隠のサイト http://rishoinshi63.ken-shin.net/
上代・漢・三国建安・六朝のサイト http://sangokurikushi.ken-shin.net/
宋詩・花間集のサイト http://soukakanshu.ken-shin.net/
文選のサイト http://monzen3shu.ken-shin.net/
|
儒教の復興は、彼の思想の基盤である。古文復興運動とは表裏のものであり、その観点から原道」「原性」「原毀」「原人」「「原鬼」などを著している。その一方で、排仏論も、彼の儒教復興の姿勢からきたものであった。六朝から隋、唐にかけての崇仏の傾向が強くくなったのも中国人民に儒教が嫌悪されたからで、学問として哲学としても敬遠されたのだ。そうした中で、韓愈の一門は中国古来の儒教の地位を回復しようとするのであった。
「原」(尋ねるという意味)は、『淮南子』の「原道訓」に倣って、韓愈が始めた論文の一種で、本原をたずねて推論する性質のもであって、「原道」「原性」「原毀」「原人」「原鬼」の五原がある。
《原性》を書いて性三品説を確立した。
《原毀》世の謗りは人は多情であっても名声あるものを嫉妬することにある。
《原人》人間とは何か、人道、「仁」の本原の理を明らかにする。
《原鬼》人間の精霊の本原の理を明らかにする。
ということである。
まず原道から始めることとする。長文のため、意味によって区切り、おおむね14段分割し、掲載は22回程度になる。
|
||
39 | 韓愈2 原道 | http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/ archives/6243542.html |
40 | 韓愈2 原性 | http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/ archives/6308849.html |
41 | 韓愈2 原人 | http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/ archives/6333021.html |
42 | 韓愈2 原鬼 | http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/ archives/6340683.html |
43 | 韓愈2 原毀 | http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/ archives/6349803.html |
802年貞元十八年に国子四門博士(大学教授)となって以来十余年、一時監察御史に出た ほか、三度博士に任ぜられ、813年元和八年以後しきりに左遷されていた韓退之は、この文章 を作って、学殖がありながら世に用いられない一人の博士の自己弁明を滑稽に述べたのであ る。 題して「学問を進めるための解明文」という。この解も漢の揚雄の「解嘲」に倣った問答体の俳諧
文で、韻を踏んだ賦に似た形式もその系統をあらわしている。揚雄は「太玄経」を著したが、ある 人から「玄(幽玄な哲学) を説くには、尚、彼の徳は白(素白、浅薄)である」といわれた。玄と 白との語言上の戯れであるが、この嘲(からかい)を解くための文章という意味で 「解嘲」と題し た。これは漢の東方朔の「答客難」に倣ったものであるが、後漢の班国は、またこれをうけて「答 賓戯」を作った。『文選』には「設諭」体の三篇としてこれらを収載している。韓愈はこれを継いだ のである。 |
||
44 | 韓愈3 進学解 | http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6240580.html |
漢文委員会 紀頌之の毎日の 6ブログ 連携HP |
||||||
|
|
|||||
|
||||||
|
|
|||||
http://kanbunkenkyu88.blog-rpg.com/ |
||||||
詩を理解するための背景、全体を理解するための資料、各詩人の生涯などなど。 | ||||||
漢詩、六朝詩、唐詩、宋詩研究の漢文委 員会紀頌之のホームページ |
漢詩から唐詩・宋詩研究 基本となる詩集 ホ ームページ |
|||||
詩人の生涯・概略・年譜
http://chubunkenkyu.byoubu.com/index.html |
http://kanbuniinkai.webcrow.jp/index.html |
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#6
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#6 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10854
そこに加えて、わたしと同時期に拉致された仲間達が大勢で、お別れの挨拶を言いに来てくれ見送ってくれた。
生き地獄の様なところからこの地に一緒に来て、わたし独りだけ帰っていくことができたのを歓び慕ってくれたが、別れを哀しみ、叫び声で、切り裂かれてしまうほどである。
出発の時となっても馬はそのために立ち止まって躊躇し、馬車は、そのためでも進む向きを変えないで前進しだした。
帰還の行列に来たもの、見る者はすべて皆、すすり泣きをし、道を行く人さえも、また、子供との別れを知って、嗚咽して泣いたりしたのである。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
その二 6回目
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
|
|
|
|
蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
|
|
|
|
悲憤詩三首 其二 漢魏 蔡文姫
#1
悲憤詩三首 其二
その二(蔡文姫が異民族の地での生活している時のことを歌う)
邊荒與華異,人俗少義理。
辺疆の地は中華、中原とは全く異った生活様式となっており、その地の人の風俗は、人の踏み行なうべき道を缺いている。
處所多霜雪,胡風春夏起。
生活しているところは、とてつもなく雪や霜が多く、胡風というもの、本来秋の西風と言うべき風が、その西風が春と夏にも起こるのである。
翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
その風は、漢衣のわたしのころもに吹いて、ひらひらと巻き上げてしまうし、部屋に入ってもしゅうしゅうと私の身に聞こえてはなれない。
#2
感時念父母,哀歎無窮已。
折に節して、父母のことを強く心に思うし、連れ去られた哀しみと歎きに孤独が加わり、哀歎が無限にこみ上げてくるばかりである。
有客從外來,聞之常歡喜。
胡地以外の地から来た拉致されてきたものがいると、その「有客從外來」という噂を耳にすれば、その地の事が聴けるといつも喜んだ。
迎問其消息,輒復非鄕里。
その客を歓迎して、いろいろ中原の様子を問い訊ねた。「迎問其消息」するたびに、同郷の者ではないことがわかった。
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#5
(Ⅳ 政略婚) 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#5 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10847
お母さんとして、これまでずっと優しく接してきたのに。今は、どうしてこんなにも冷たくしてくるのだろうか。
子供の我々は、まだ大人になっていないし、そのことをどうして思いやってくれなかったのか。
この別れの情態に接したために、五臓は裂かれ崩れてしまう思いがしたし、頭がはっきりしないで、心奪われ、ぼんやりとして、発狂して馬鹿になったみたいだった。
わたしは號泣しながらも、二人の子の手を愛撫しているし、出発に当たって、なおもまた、逡巡遅疑して立ち尽くす。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
その二 5回目
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
|
|
|
|
蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
|
|
|
|
悲憤詩三首 其二 漢魏 蔡文姫
#1
悲憤詩三首 其二
その二(蔡文姫が異民族の地での生活している時のことを歌う)
邊荒與華異,人俗少義理。
辺疆の地は中華、中原とは全く異った生活様式となっており、その地の人の風俗は、人の踏み行なうべき道を缺いている。
處所多霜雪,胡風春夏起。
生活しているところは、とてつもなく雪や霜が多く、胡風というもの、本来秋の西風と言うべき風が、その西風が春と夏にも起こるのである。
翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
その風は、漢衣のわたしのころもに吹いて、ひらひらと巻き上げてしまうし、部屋に入ってもしゅうしゅうと私の身に聞こえてはなれない。
#2
感時念父母,哀歎無窮已。
折に節して、父母のことを強く心に思うし、連れ去られた哀しみと歎きに孤独が加わり、哀歎が無限にこみ上げてくるばかりである。
有客從外來,聞之常歡喜。
胡地以外の地から来た拉致されてきたものがいると、その「有客從外來」という噂を耳にすれば、その地の事が聴けるといつも喜んだ。
迎問其消息,輒復非鄕里。
その客を歓迎して、いろいろ中原の様子を問い訊ねた。「迎問其消息」するたびに、同郷の者ではないことがわかった。
#3
邂逅徼時願,骨肉來迎己。
思いがけなくも僥倖を得たいという願いが通じ、めぐり逢いが実現することになった。肉親のものがわたしを迎えに来てくれた。
己得自解免,當復棄兒子。
わたしが、この拉致されての境遇から解放されるということは、それは、同時に子どもをすてることになるという条件であった。
天屬綴人心,念別無會期。
頭によぎるのは、血の繋がった身内のことであり、それは心にまとわりつき、この別れのことを考えれば、もうこの子たちに再び会う期は無い。
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#4
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#4 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10840
もう、かれらとは、生死を永遠に別のものとするものとして、遙かに離れ去ってしまう。これこそ我が子に、離別の挨拶の言葉をいうことも忍びないのである。
子どもは私のところへ、進んできて、わたしの首を抱いてきてはなれず、母に言うには、どこへ行こうとしているのかと、問いかけるばかりである。
ほかの人が、母はもうそのまま去っていって、どうしても、ふたたび還ってくる時はないのですよ。 と。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
その二 4回目
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
|
|
|
|
蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
|
|
|
|
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#3
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#3 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10833
#3
思いがけなくも僥倖を得たいという願いが通じ、めぐり逢いが実現することになった。肉親のものがわたしを迎えに来てくれた。
わたしが、この拉致されての境遇から解放されるということは、それは、同時に子どもをすてることになるという条件であった。
頭によぎるのは、血の繋がった身内のことであり、それは心にまとわりつき、この別れのことを考えれば、もうこの子たちに再び会う期は無い。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
その二 3回目
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
|
|
|
|
蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
|
|
|
|
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#2
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10826
折に節して、父母のことを強く心に思うし、連れ去られた哀しみと歎きに孤独が加わり、哀歎が無限にこみ上げてくるばかりである。
胡地以外の地から来た拉致されてきたものがいると、その「有客從外來」という噂を耳にすれば、その地の事が聴けるといつも喜んだ。
その客を歓迎して、いろいろ中原の様子を問い訊ねた。「迎問其消息」するたびに、同郷の者ではないことがわかった。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
|
|
|
|
蔡文姫 《悲憤詩三首 其二》訳注解説 |
|
|
|
|
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#1
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.2.悲憤の詩其の二 訳注解説#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10819
その二(蔡文姫が異民族の地での生活している時のことを歌う)
辺疆の地は中華、中原とは全く異った生活様式となっており、その地の人の風俗は、人の踏み行なうべき道を缺いている。
生活しているところは、とてつもなく雪や霜が多く、胡風というもの、本来秋の西風と言うべき風が、その西風が春と夏にも起こるのである。
その風は、漢衣のわたしのころもに吹いて、ひらひらと巻き上げてしまうし、部屋に入ってもしゅうしゅうと私の身に聞こえてはなれない。
中国史・女性論
|
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主)
Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁
§-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説
|
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#6
Ⅳ 政略婚 《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#6 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10812
朝が明ければ、号泣しながら歩んで行いたし。夜になれば、悲しげに呻(うめ)いて、坐り込んだものだ。
死のうと思ってもできはしない。生き続けようと思っても、少しもよいことがあるとは思えない。
遙かなるかの青空よ、わたしに、一体、何の罪科があって、このような、死ぬより辛い、災厄に遭わせるのか。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 10. 胡笳十八拍 漢魏 蔡文姫 訳注解説 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
|
|
|
|
蔡文姫 《悲憤詩三首 其一》訳注解説 |
|
|
|
|
悲憤詩三首 其一 #1
(蔡文姫が掠め取られる頃の世情、拉致されて連行される時のことなどを歌う)
漢季失權柄,董卓亂天常。
幼帝を傀儡とする宦官の政治介入が長く続くと、後漢の末期には、中央政府の政治は機能不全に陥り、実権は衰えた。宦官殺害がすすみ、機会を得た董卓は、武力を背景に、世の中のきまりを乱して相国になって朝廷を掌握した。
志欲圖簒弑,先害諸賢良。
董卓は主君を殺して帝王の位を奪い取ることを計画し、それに先立って、伍瓊や周等をはじめとし、多くの優秀な人材を排除、殺害したのである。
逼迫遷舊邦,擁主以自彊。』
都であった洛陽が北からの外敵、各地の諸公からの打倒董卓の勢いに、防御能力の高い前漢の首都である長安への移転を画策、少帝を廃して、新たな主君である献帝を擁立して、一時政権を掌握し、洛陽を燃やし尽くし、強引に長安に遷都した。
#2
海内興義師,欲共討不祥。
中國国内全土で義軍をおこすことになったし、連合、同盟を酌み、ともになって、好ましくないものを討とうとした。
卓衆來東下,金甲耀日光。
董卓の軍勢が函谷関の東側に攻め込んできた。 この時には、董卓軍の金のよろいに、日の光に輝き、希望に満ちていた。
平土人脆弱,來兵皆胡羌。
この時の中原の漢人はもろくて弱かった。董卓の軍勢に従軍してきた者は、皆、西方の異民族であった。
獵野圍城邑,所向悉破亡。
まるで狩猟でもするかのように、街や村を囲んで。 軍勢の向かう所の者は、ことごとく打ち破り、滅亡させていった。
斬截無孑遺,尸骸相牚拒。』
敵対するものは、一つ遺さずに斬り捨てられた。屍骸は積み上げられ、お互いに支え合うかのようである。
#3
馬邊縣男頭,馬後載婦女。
馬首のあたりには、斬り取った漢人の男の首をぶら下げている。馬の背の後ろ側には、奪い取った漢人の女性を積み載せている。
長驅西入關,迥路險且阻。
西の異民族の国から遠い道のりを馬で走って、西の方の函谷関に入ってきらが、遠い道筋は、けわしくて、行く手をはばむかのようであった。
還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。
その道の方を振り返れば、遙かに遠くかすんでいるし、来た道が見えないので、心は、そのためにただれて腐りそうだ。
#4
所略有萬計,不得令屯聚。
捕縛、掠奪した人数は、優に萬に上る、拉致された人々が、群がり集まることをさせなかった。
或有骨肉倶,欲言不敢語。
それだから、肉親が一緒にいて、家族の心配をして話し合おうと思っても、話すことはできない。
失意機微閒,輒言斃降虜。
すこしでも胡兵のご機嫌を損ねるたりすると、徹底的に追及され、発見されてそのたびに、言われる言葉は「捕虜めをいくら殺してもよいことになっている…」と。罵詈雑言をはかれたのである。
#5
要當以亭刃,我曹不活汝。
暫しの間だけ刃物は用いないけれど、それも暫しの間の事で、今、殺さないだけなのである。 我々が、おまえらを生かしておく意味がないのである。
豈復惜性命,不堪其詈罵。
これほど罵倒が続くと、生命はもう惜しいとは思わなくなったが、それでも、さらに、その罵ののしりや、むちうちには堪えられなくなっていった。
或便加棰杖,毒痛參并下。
或いは、むちうたれて、詈罵の毒言の辛さと棒杖の痛みとが一緒になって、身にかかってくるのである。
#6
旦則號泣行,夜則悲吟坐。
朝が明ければ、号泣しながら歩んで行いたし。夜になれば、悲しげに呻(うめ)いて、坐り込んだものだ。
欲死不能得,欲生無一可。
死のうと思ってもできはしない。生き続けようと思っても、少しもよいことがあるとは思えない。
彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
遙かなるかの青空よ、わたしに、一体、何の罪科があって、このような、死ぬより辛い、災厄に遭わせるのか。
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#5
Ⅳ 政略婚《§-4 蔡文姫史話》5.1.悲憤の詩其の一 訳注解説#5 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10805
暫しの間だけ刃物は用いないけれど、それも暫しの間の事で、今、殺さないだけなのである。 我々が、おまえらを生かしておく意味がないのである。
これほど罵倒が続くと、生命はもう惜しいとは思わなくなったが、それでも、さらに、その罵ののしりや、むちうちには堪えられなくなっていった。
或いは、むちうたれて、詈罵の毒言の辛さと棒杖の痛みとが一緒になって、身にかかってくるのである。
中国史・女性論 |
Ⅳ 政略婚 (近隣国・異民族に嫁いだ公主) Ⅳ-§-3 吐蕃王に嫁いだ文成公主 はじめに(唐とティペット王国との関係を背景) 1. 吐蕃王国と吐谷渾 2. 唐と吐蕃の関係 3. 文成公主の降嫁 §-4 蔡文姫史話 1. 胡騎に劫られ去られた蔡文姫 2. 蔡文姫について 3. 後漢末の政治の乱れ 4. 黄巾の乱と軍閥の混戦 5. 悲憤の詩三首 6. 南匈奴部と後漢帝国との関係 7. 南匈奴部の反乱と分裂 8. 帰都の実現 9. 母子別離の情 |
Ⅴ-§-4 蔡文姫、史話
5. 悲憤の詩三首
|
||
|
漢魏 蔡文姫 《悲憤詩三首》 |
|
|
悲憤詩三首 其一
漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。
海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。
獵野圍城邑,所向悉破亡。斬截無孑遺,尸骸相牚拒。馬邊縣男頭,馬後載婦女。
長驅西入關,迥路險且阻。還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。所略有萬計,不得令屯聚。
或有骨肉倶,欲言不敢語。失意機微閒,輒言斃降虜。要當以亭刃,我曹不活汝。
豈復惜性命,不堪其詈罵。或便加棰杖,毒痛參并下。旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!
悲憤詩三首 其二
邊荒與華異,人俗少義理。處所多霜雪,胡風春夏起。翩翩吹我衣,肅肅入我耳。
感時念父母,哀歎無窮已。有客從外來,聞之常歡喜。迎問其消息,輒復非鄕里。
邂逅徼時願,骨肉來迎己。己得自解免,當復棄兒子。天屬綴人心,念別無會期。
存亡永乖隔,不忍與之辭。兒前抱我頸,問母欲何之。人言母當去,豈復有還時。
阿母常仁惻,今何更不慈?我尚未成人,柰何不顧思!見此崩五内,恍惚生狂癡。
號泣手撫摩,當發復回疑。
兼有同時輩,相送告離別。慕我獨得歸,哀叫聲摧裂。馬爲立踟蹰,車爲不轉轍。
觀者皆歔欷,行路亦嗚咽。
悲憤詩三首 其三
去去割情戀,遄征日遐邁。悠悠三千里,何時復交會?念我出腹子,匈臆爲摧敗。
既至家人盡,又復無中外。城郭爲山林,庭宇生荊艾。白骨不知誰,從橫莫覆蓋。
出門無人聲,豺狼號且吠。煢煢對孤景,怛咤糜肝肺。登高遠眺望,魂神忽飛逝。
奄若壽命盡,旁人相寬大。
爲復彊視息,雖生何聊賴!託命於新人,竭心自勗厲。流離成鄙賤,常恐復捐廢。
人生幾何時,懷憂終年歳!
|
|
|
|
蔡文姫 《悲憤詩三首 其一》訳注解説 |
|
|
|
|
悲憤詩三首 其一 #1
(蔡文姫が掠め取られる頃の世情、拉致されて連行される時のことなどを歌う)
漢季失權柄,董卓亂天常。
幼帝を傀儡とする宦官の政治介入が長く続くと、後漢の末期には、中央政府の政治は機能不全に陥り、実権は衰えた。宦官殺害がすすみ、機会を得た董卓は、武力を背景に、世の中のきまりを乱して相国になって朝廷を掌握した。
志欲圖簒弑,先害諸賢良。
董卓は主君を殺して帝王の位を奪い取ることを計画し、それに先立って、伍瓊や周等をはじめとし、多くの優秀な人材を排除、殺害したのである。
逼迫遷舊邦,擁主以自彊。』
都であった洛陽が北からの外敵、各地の諸公からの打倒董卓の勢いに、防御能力の高い前漢の首都である長安への移転を画策、少帝を廃して、新たな主君である献帝を擁立して、一時政権を掌握し、洛陽を燃やし尽くし、強引に長安に遷都した。
#2
海内興義師,欲共討不祥。
中國国内全土で義軍をおこすことになったし、連合、同盟を酌み、ともになって、好ましくないものを討とうとした。
卓衆來東下,金甲耀日光。
董卓の軍勢が函谷関の東側に攻め込んできた。 この時には、董卓軍の金のよろいに、日の光に輝き、希望に満ちていた。
平土人脆弱,來兵皆胡羌。
この時の中原の漢人はもろくて弱かった。董卓の軍勢に従軍してきた者は、皆、西方の異民族であった。
獵野圍城邑,所向悉破亡。
まるで狩猟でもするかのように、街や村を囲んで。 軍勢の向かう所の者は、ことごとく打ち破り、滅亡させていった。
斬截無孑遺,尸骸相牚拒。』
敵対するものは、一つ遺さずに斬り捨てられた。屍骸は積み上げられ、お互いに支え合うかのようである。
#3
馬邊縣男頭,馬後載婦女。
馬首のあたりには、斬り取った漢人の男の首をぶら下げている。馬の背の後ろ側には、奪い取った漢人の女性を積み載せている。
長驅西入關,迥路險且阻。
西の異民族の国から遠い道のりを馬で走って、西の方の函谷関に入ってきらが、遠い道筋は、けわしくて、行く手をはばむかのようであった。
還顧邈冥冥,肝脾爲爛腐。
その道の方を振り返れば、遙かに遠くかすんでいるし、来た道が見えないので、心は、そのためにただれて腐りそうだ。
#4
所略有萬計,不得令屯聚。
捕縛、掠奪した人数は、優に萬に上る、拉致された人々が、群がり集まることをさせなかった。
或有骨肉倶,欲言不敢語。
それだから、肉親が一緒にいて、家族の心配をして話し合おうと思っても、話すことはできない。
失意機微閒,輒言斃降虜。
すこしでも胡兵のご機嫌を損ねるたりすると、徹底的に追及され、発見されてそのたびに、言われる言葉は「捕虜めをいくら殺してもよいことになっている…」と。罵詈雑言をはかれたのである。
#5
要當以亭刃,我曹不活汝。
暫しの間だけ刃物は用いないけれど、それも暫しの間の事で、今、殺さないだけなのである。 我々が、おまえらを生かしておく意味がないのである。
豈復惜性命,不堪其詈罵。
これほど罵倒が続くと、生命はもう惜しいとは思わなくなったが、それでも、さらに、その罵ののしりや、むちうちには堪えられなくなっていった。
或便加棰杖,毒痛參并下。
或いは、むちうたれて、詈罵の毒言の辛さと棒杖の痛みとが一緒になって、身にかかってくるのである。
#6
旦則號泣行,夜則悲吟坐。
欲死不能得,欲生無一可。
彼蒼者何辜,乃遭此戹禍!